鎌倉市大船 山口内科 すこやか生活第3巻9号
3つのヘルニア
ヘルニアとは体のある部分が元々収まっている場所からその外に飛び出てくることを言います。痛みの原因になる代表的なヘルニアについてまとめました。
2)椎間板ヘルニア 脊椎の骨と骨の間にあるクッションの役目をしている椎間板がつぶれて骨の合間から飛び出すことです。手足へ伸びる神経を圧迫して痛みやしびれを起こします。自然に痛みが取れることが多いのですが、手術になる場合もあります。首や腰を引っ張って圧迫を軽減して痛みが引くのを待つ治療も一般的です。
足の付け根が飛び出てくるヘルニアです。おなかの中に収まっている腹膜や腸などが鼠径部の付け根から皮膚の下に脱出してきます。胎児の時、睾丸などがおなかの中から陰嚢へ降りてくる下がり口が、キチンとふさがらず、便秘の時に力んで広がったり、年をとって局所が弱くなることが原因です。痛みがあれば速やかに手術が必要です。痛みが無い場合はヘルニアバンドで押さえることもありますが、装着感があまり良くないので手術になることが多いようです。手術は簡単で、広がった口を縫い合わせたりパッチを当てます。
3)食道裂孔ヘルニア 胸と腹を仕切っている横隔膜の隙間(食道裂孔)がゆるみ、胃の天井が腹の中から胸に滑り出ることです。胃酸が食道に上がって食道炎を起こし、胸焼けや胸痛の原因になったり口が苦くなります。太りすぎが原因で自分の脂肪で胃を圧迫していたり、無理にベルトで締め上げている方が多いようです。痩せたりベルトやコルセットをゆるめたり、お腹を圧迫しない姿勢が症状を軽減します。 痛みには胃酸を抑える薬が有効です。