すこやかな暮らしを応援します!

ページ2


鎌倉市大船 山口内科 すこやか生活第3巻8号

(1 ページから続く)

ロールを介します。そこでリンパ球自体の制御が必要です。リンパ球は発生段階で様々な働きのレパートリーをもっています。余分なリンパ球はアポトーシスという方法で自壊します。免疫活動の結果として生産された抗体やサイトカイン(ILやインターフェロン)のうち、リンパ球の働きを抑えるものもあります。(赤矢印

 少し話が分かりにくくなりました。実際はずっと複雑です。一つの免疫反応も、自己認識、免疫応答、免疫制御を通して、複雑なネットワークの中で上手に行われています。このシステムが崩れた場面を想像すると恐ろしくなります。しかし、すべてがズタズタになることは、エイズなど特殊な免疫不全以外にまずありません。逆にその一部だけ上手に活性化する免疫治療もうまくいっていないのが現状です。






予防接種の考え方

 様々なワクチンがありますが、主に次の3つに大別されます。

1)弱毒化生ワクチン
 麻疹、風疹、ポリオ、おたふく風邪、水痘、結核(BCG)などです。毒性を失った生きたウイルスや細菌株を接種します。ワクチンによっては軽くかかったような症状が出ることもあります。弱毒化生ワクチンは毒性は少なくとも本物なので強い免疫がつきます。そのため、一度の接種でよいものがほとんどです。

2)不活化ワクチン
 日本脳炎、ジフテリア、百日咳、B型肝炎、インフルエンザなどです。ウイルスの死骸を精製して作ったワクチンです。生ワクチンに比べ、抗原としての刺激が少ないので何度も接種しなければ免疫力がつきません。しかし、軽くかかることは皆無なので安心です。B型肝炎のように、抗原蛋白だけを遺伝子技術で合成したものもこの仲間です。

3)トキソイド
破傷風ワクチンが代表です。毒物を失活させて、抗原性だけを残した物質を接種します。不活化ワクチン同様、抗原性が弱いため、数回接種しなければなりません。
 これらの接種と免疫力の上がり方を図示しました。ワクチンと一言でいっても各々全く異なっているので、接種は決められた間隔と時期を守り、キチンと受けておくことが望ましいのです。

免疫の位置づけ・仕組み | 予防接種の考え方 | 免疫とアレルギー |
免疫やアレルギー治療の基本戦略