鎌倉市大船 山口内科 すこやか生活第21巻6号

糖尿病の内服薬

 内服薬は以下の3種類に分けられます。現時点での推奨薬を概説します。
@インスリン抵抗性を改善する
Aインスリン分泌を促す
Bブドウ糖の吸収・排泄を調節する
1)ビグアナイド系@
:メトホルミンが代表で、肝臓でのデンプン質からブドウ糖への変換を抑え、インスリンの作用を高めます。食欲の抑制や肥満防止の作用もあり、肥満の多い欧米では第一選択薬です。日本でも現在第一選択になりつつあります。以前は乳酸アシドーシスの副作用が喧伝されましたが、ごく稀です。
2)SGLT-2阻害剤B:スーグラなどで、腎臓の糸球体でこし出されたブドウ糖が腎尿細管で再吸収される過程をブロックし、尿へブドウ糖をより多く排出し、血糖値を下げます。食べた栄養を尿へ捨てるので、食事制限と同様な体重減少が期待でき、肥満の多い米国ではビグアナイドに次いで第二選択薬となっています。細菌が生えやすい栄養価の高い尿となるので、膀胱炎や性器感染症になりやすいこと、尿量が増えることによる脱水に注意が必要です。対策として局所を清潔

にすること、十分な水分摂取が必要です。なお、尿に糖を捨てることができるからと言って食事療法をおろそかにするのは本末転倒です。
3)DPP-4阻害薬A:シダグリプチン(ジャヌビア)などで、小腸から分泌されインスリン分泌を促すGLP-1というホルモンを分解するDPP-4を抑制し、GLP-1を高めインスリンを増やします。GLP-1は血糖値が高くないと上がらないため、血糖値が低めの時はDPP-4阻害薬は作用せず、低血糖リスクの少ない安全な内服薬です。
4)チアゾリン系@:ピオグリタゾンで、メトホルミン類似の作用があり、水分を溜めやすい副作用以外は使いやすい薬です。
5)α-グルコシダーゼ阻害薬B:デンプン→ブドウ糖への分解を抑えブドウ糖の吸収を遅らせます。お腹がゴロゴロするなど胃腸症状が出やすい薬です。
6)グリニド系A:食直後のインスリン分泌を促します。少し弱めの薬です。
7)SU剤A:インスリン分泌を促し低血糖リスクが高く出番が少なくなりました。

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