4)成長、発育を促進する
 正常な発育と骨格の成熟には、甲状腺ホルモンが必要です。生まれた時からホルモンが不足していると、体の発育が遅れるだけでなく、精神薄弱におちいることもあります。(クレチン病)
5)血液中コレステロールを下げる
 甲状腺ホルモンは、肝臓にあるLDLコレステロール(俗に悪玉コレステロールと呼ばれるもの。)の取り込み口を増やします。これにより、血液中のコレステロールは肝臓へ取り込まれ低下します。

以上、甲状腺ホルモンの働きを列記しました。5)を除くと、このホルモンはまさに"元気のもと"と、呼ばれるにふさわしいものと感じられたでしょう。このホルモンをごく少量、ヤセ薬として中国茶に混ぜて販売した不届きものもいました。しかし、甲状腺ホルモンはこのように強力なので、ひとつ分量を間違うと大変なことになることが想像できると思います。怪しいシェイプアップの健康食品は、くれぐれもその内容を吟味してから使用するよう心がけましょう。


甲状腺機能亢進症

 甲状腺ホルモンが過剰に産生されてホルモンが働きすぎる状態を甲状腺機能亢進症と呼びます。バセドウ病がその代表です。前述のホルモンの働きに照らし合わせて症状を見てみましょう。代謝が活発になると体が熱を帯び、汗をかきます。これが続くと体重が減ってきます。自律神経が交感神経優位に傾くと、心臓の拍動が活発になって、心拍数が増え、動悸を覚えます。血圧も上がり気味になります。手の指が小刻みに振るえるといった症状も出てきます。
 脳の働きが活発になりすぎると、落ち着きがなくなりいらいらしてきます。また、いつも覚醒した状態になるため、夜になっても眠りにつけません。コレステ

ロールはどんどん肝臓に取り込まれて、血液中の濃度は低下します。腸は活発に動きすぎるので、下痢を起こします。
 バセドウ病では、目玉(眼球)がせり出してきます。更年期前の女性では月経の出血が少なくなります。若い男性では、四肢麻痺と呼ばれる手足が動かなくなる症状で見つかることもあります。治療は、原因によって異なりますが、メルカゾール、プロパジールなどの、抗甲状腺薬の服用が一般的です。動悸など交感神経系の症状が強い場合は、アドレナリンβ作用を押さえこむβ
-ブロッカーという薬も併用します。手術で甲状腺の一部を切り取り、ホルモンの産生工場を部分閉鎖する方法や、アイソトープなど、放射能を使って甲状腺を壊し、ホルモン産生を抑制する方法も採られます。このあたりはケース バイ ケースと言えましょう。

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