冬から春のカゼ,アレルギーと感染症の見分け方,花粉症の合併症,スギ花粉症の舌下免疫療法,花粉症薬の上手な飲み方

 「カゼは、鼻汁、ノドの痛み、セキやクシャミ、熱など上気道の症状を伴う急性疾患で、原因はライノウイルスなどのウイルスであることが多く、ウイルス性のカゼはカゼ症候群と呼ばれています。」これが、俗語であるカゼを説明するときの、医師の間での通説です。何となく体調が悪い時に使う俗語病名なので、外来を訪れる患者さんも「カゼをひきました。」と、胸を張って自己診断される方も多くいます。しかし、俗語の病気を、はっきりとした証拠の無い通説で語っては、本当のところが見えてきません。おそらく、カゼの一部はウイルスで、その重症なもの達がインフルエンザや麻疹、風疹、おたふく風邪などとして、独立してきた歴史があるのでしょう。  
 通説によれば、カゼ症候群の原因は無数にあるウイルスなので、保育園や幼稚園に通っているお子さんは、繰り返し繰り返し、カゼをもらってくるとされています。ところがよく見ると、カゼを繰り返すお子さんと、あまりもらわないお子さんの2とおりのパターンがあるようです。この違いは、免疫力の強さによると考えられています。しかし、インフルエンザが流行ると、どちらのお子さんも同じように罹ってしまいま

す。不思議ですね。カゼを繰り返すお子さんをよく観察すると、いつも鼻をグスグスしていたり、鼻の穴の外側に黄色い粉(鼻汁が乾燥したもの)がついていたりします。そして、アレルギー性鼻炎の薬を飲み続けると、園でカゼが流行っていてももらってこなくなるというケースをよく見かけます。大人でも同様なパターンが多いため、カゼには俗に鼻カゼと呼ばれるアレルギー性鼻炎も含まれるのではと、考えるようになりました。一般に花粉症などのアレルギー性鼻炎は熱を出さないことになっていますが、副鼻腔炎や中耳炎の合併が多いことも知られており、これらは高熱の原因となります。この様に混沌としたカゼをいろいろ観察・検討した結果、現在では、アレルギー性鼻炎由来のカゼウイルス性のカゼがあり、前者の方が多い可能性が高いと考えています。スギ花粉症が猛威を振るい、インフルエンザの流行する、冬から春の季節は、いろいろな意味でカゼをひく機会が増える季節です。この2つは診断も治療も異なりますが、マスクをする事でどちらも予防できる可能性があります。カゼをひきやすい方は、この冬からできるだけマスクをする事を心がけてください。

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