主な脱水の原因と対策

1)飲水不足:人は水分が不足してくるとノドが渇き、水を飲むようにできています。しかし、ノドの渇きを感じなかったり、飲むという合理的な行動ができなければ脱水に陥ります。具体的に前者は、脳卒中などで意識が無い場合、後者はアルツハイマー型認知症で、水分補給の行動が起こせない場合です。また、これらが正常でも、お腹を壊していて意識的に食物や水分を避けている場合も同様です。
 意識の無い場合は医療従事者が側についているので問題は少ないのですが、
認知症の場合は同居する家族が目を見張ってないと脱水に陥ってしまうことがあります。普段よりおむつにする尿の量や回数が少ないときは要注意です。こんな時は意識的に水分を飲ませてあげてください。腹をこわしたとき、水を飲むと下痢をするので飲むのを避けているという方が時々いますが、飲むと腸の蠕動運動が起こるので、S状結腸や直腸に下痢便が溜まっていると出てしまいます。これは出るべくして待機していた下痢便なので、出ても問題ありません。なので、積極的にイオン水を飲みましょう。
2)胃腸からの水分脱出:胃からのおう吐や下痢は脱水の典型例です。おう吐の場合は、胃液がはき出されるので、体内の酸が不足し、体がアルカリに傾きます。下痢は、水分の他、NaやKといった塩分が出て行ってしまいます。そこで、胃や腸から水分が脱出した場

合は、水を補うだけでなく、酸とアルカリのバランスを取ったり、失った塩分を補う必要があります。
3)発汗:汗の99%は水分ですが、およそ0.6%の食塩(NaCl)が含まれます。これは、細胞外液に近いのですがやや塩分が少ない組成です。この減少は、汗をかくとき水分を主に出して、NaClの一部が再吸収された結果です。しかし、汗腺は腎臓と違って再吸収に特化した構造でないため、細胞外液の2/3に相当するNaClが皮膚に出てきてしまいます。これが汗が塩っぱい理由です。従って大量の汗をかいた場合、イオン水などで塩分を取り入れて行かなければ脱水とともに塩分バランスを損なってしまいます。運動するとき生理食塩水よりやや食塩が少なめなスポーツドリンク(イオン水)を飲むのが合理的なのはこんな訳です。
4)利尿剤:利尿効果の強い薬剤の順に、ループ利尿剤、サイアザイド系、そしてK保持利尿剤です。ループ利尿剤(フロセミド)で尿がNaClとともに排泄されると脱水だけでなく体内の塩分(NaClやK)が不足します。心不全や腎不全の場合塩分はやや不足気味でもかまいませんが、本格的に不足すると体の活力がなくなってしまいます。サイアザイド系でも量が多く長期に渡るとループ利尿剤と似た状況になります。K保持利尿剤(スピロノラクトンなど)は利尿効果が弱いので脱水にはなりにくいのですが、血液中のKが高くなる場合があります。






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