食物アレルギーの診断
特異IgE いわゆる、アレルギーの血液検査で、卵白、牛乳、小麦、ソバなどのたんぱく質に対する血液中のIgE型の抗体を調べる検査です。簡単に調べられるので、食物アレルギーだけでなく、花粉症などのアレルギー性鼻炎、喘息の吸入抗原の決定に使われます。1回の採血で、何十種類でも調べることができ便利ですが、多くの食物に陽性反応が出た場合、すべて除去した食事を今後一生続けるべきか、その後の対応が悩ましくなります。悩ましい理由は、その食物に対してIgE抗体があっても、アレルギー症状が出るとは限らないからです。食物のたんぱく質は熱や酸などで調理されたり、熟れたり、発酵すると、立体的な構造が変化します。IgE検査が陰性で、元々のたんぱく質に対するIgEがなくても、変化したたんぱく質にアレルギーを持つケースがあるため油断ができません。このため、検査結果を鵜呑みにせず、冷静な判断が必要です。疑わしい食物の除去 食物アレルギーの診断の際、最も大切なのは、食生活、食べたものの洗い直しです。特異IgEが出た食物を
順番に除いた食事を食べるようにして、本当にアレルギーが起こるかどうか、アトピーなどの症状が改善するかどうかなどを見守ります。もし、変化がなければIgE抗体があっても、現在の症状とは関係ないと言えます。あれもこれも出る方は、2週間ずつ順番に止めてみるといいでしょう。食物負荷試験 アレルギーの原因として疑わしい食物を食べてみて、本当にアレルギー症状が出るか確認する検査です。食物による重篤なアナフィラキシーショックやぜん息発作が疑われる方は危険なので、専門の施設で慎重に行わなければなりませんが、確定診断には最も近い検査法です。卵や牛乳、小麦などは、比較的耐性(慣れ)を獲得しやすいので、1年間に渡ってアレルギー症状の食物による誘発がなければ負荷試験を検討してもよいでしょう。なお、ぜん息やアトピーの症状が不安定な時期は避け、安定してから行う必要があります。いずれにせよ行う場合は主治医と相談のうえ行うべきです。決して本人やお母さんの判断で行ってはなりません。
アレルギーの出やすい食品
食物アレルギーを起こす食品の頻度は2011年の全国調査では多い方から順位、卵(鶏卵)39%、牛乳・乳製品22%、小麦12%、落花生5%、いくら4%、エビ3%、ソバ2%、キウイフルーツ1%となっています。卵、牛乳、小麦の3つは、食物アレルギーの60%以上を占めており3大アレルギー原因食品と呼ばれています。これら3つに加え、ソバ、落花生、エビ、カニについては、特定原因材料と定められているため、食品成分表へ必ず記載する事になっています。また、これ以外の、アワビ、イカ、いくら、オレンジ、カシューナッツ、牛肉、くるみ、ごま、サケ、サバ、大豆、キウイフルー
ツ、鶏肉、バナナ、豚肉、マツタケ、もも、やまいも、リンゴ、ゼラチンなどの20品目もできる限り表示することになっています。 食物アレルギーの頻度は、年齢によって変化します。それは、乳児、幼児、小児、思春期、成年と食べるものが多様化し、その間、元々アレルギーがあった食品に対して徐々に慣れ、症状が出なくなってくることも関係します。また、多様化することによって、年齢が上がると、甲殻類などの食品に対するアレルギーが出てきます。また、果物はひとくくりになっていますが、意外に食
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