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「むせる」という言葉は、だれでも経験し知っていることです。ご飯粒を間違って吸い込むとむせてセキがでます。この、誤飲とも言える、気道に異物が入ってセキがでることをむせるといいます。むせる原因物質としてイメージしやすいものは、①ご飯粒などの食物、②水やお茶、③きな粉やコショウ、散剤など粉でできているものなどです。ところで、これらが原因としてもっとも多いかというと、そうではありません。 一番多いムセの原因は、鼻から喉へ垂れる鼻汁である「後鼻漏」です。平時、鼻汁の大部分は、鼻粘膜の繊毛運動で、前に出てくるのではなく、後ろへ送られます。その後、ノドを伝って喉頭へ流れ、ゴクンと飲み込まれて食道へ至ります。 ここで、鼻汁の量が多かったり、鼻腔が詰まっていると型どおりノドから食道へ行くだけでなく、何かの拍子に気管に落ちることが多くなります。また、炎症が強い時に分泌される、黄緑で粘りけの多い後鼻漏は、ノドにへばりついてノドの痛みを惹起するだけでなく、強い吸気の際に誤って気管に吸い込まれ、セキの原因となります。鼻がつまり気味になると、強く空気を吸い込まざるを得ず、狭い鼻腔を勢いよく空気が流れ込みます。このため、後鼻漏などが少しあるだけでも、高速の気流に乗って気管支に吸い込まれ奥に入ります。また、鼻が完全につまり口呼吸にもなると、正常なルート(→)と違って、唾液をまちがって吸い込むこともあります。これも鼻づまりから来るむせの一つです。
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無意識の後鼻漏 普段何となく鼻をすすって鼻腔にあるじゃまな鼻水をノドに吸い落としていたり、気づかず鼻からノドに流れていく鼻汁が後鼻漏で、ほとんど人は意識してません。ノドが痛いという訴えの患者さんに「鼻汁がノドに垂れていませんか?」と、尋ねると、ほとんど「いいえ。」という答えが返ってきます。ところがノドを見ると、鼻の奥からノドにかけて黄色いネバネバがべっとりついているのをよく見かけます。そこで、自分または家族の人の息づかいに注意し、"ズルズル鼻をすすっていないか"確認すればその有無がわかります。もし、後鼻漏がノドへ垂れているなら、必ず医師に伝えましょう。 後鼻漏はどこから来るの? 鼻汁は、鼻粘膜鼻腺、副鼻腔粘膜腺、涙腺など3つからの分泌物が混ざってできています。いわゆる鼻水だけでなく、泣くと鼻水が出たり、咳き込むのはこのためです。忘れていけないのは鼻腔以上に粘膜の面積が広い副鼻腔の存在です。ここからの分泌物が増えると、鼻粘膜自体は無事でもどんどん後鼻漏が垂れてきます。副鼻腔は眼球を取り囲むように、左右4つずつ存在します。炎症が強かったり、鼻腔-副鼻腔の連絡路が閉塞すると、目の奥や周囲、上顎の歯の痛みや、頭痛の原因となります。風邪をひいて頭痛を感じるときの多くはこの副鼻腔の痛みです。
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