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あるピロリ菌感染の有無(HP抗体)や萎縮性胃炎の可能性を探るペプシノーゲン検査を行い、これらが起きている可能性がある方に
内視鏡検査を行って胃ガンを探したり、ピロリ菌の除菌治療を行って先々胃ガンの発生を予防することは合理的です。
胃ガンリスク検診
現在胃ガンは、日本で一番死亡者数が多いガンの地位を肺ガンに譲りましたが、未だに第2位です。この胃ガンを効率的に発見したり、予防することは社会にとって重要なのは言うにおよびません。そこで、胃ガンの大勢を占める分化型胃ガンのリスクを持つ人をすくい上げ、対象者を中心に内視鏡検査を行い胃ガンの発見率を上げていくことが考えられました。この対象者
は、①ピロリ菌に感染歴のある者、②萎縮性胃炎を持つ可能性のある者の2者です。この2つを組み合わせて行うのが、胃ガンリスク検診(ABC検診)です。この検診では、ヘリコバクターピロリ抗体検査とペプシノーゲン検査を両方行い、その結果で表のようにA~Dに分けます。この結果によって、今後どのように内視鏡検査を受けていくべきか決めます。
目安は以下の通りですが、実際の検査については医師との相談で決めましょう。A:胃ガンのリスクは希。次回は5年後にリスクの再評価を行う。5年に1度程度の内視鏡検査も有用。
B: 胃ガンのリスクは軽度。内視鏡検査を行い、ピロリ菌の精密検査で陽性なら除菌治療。異常が無くても3年ごとに内視鏡検査を受ける。C: 胃ガンのリスクは中程度。内視鏡検査を行い、ピロリ菌の精密検査で陽性なら除菌治療。異常が無くて
も2年ごとの内視鏡検査を受ける。
D: 胃がんのリスクは高度。 内視鏡検査を毎年受ける。 なおリスク検診にもいくつか注意点があります。リスク検診はリスクの大きさを見るだけで、ガンの有無を調べたわけではありません。検査結果を基に、内視鏡検査を受けて初めて胃ガンが見つかります。また、悪性度の高いスキルスガンなど未分化ガンは、ピロリ菌感染→萎縮性胃炎の経路を通らず発生するためこの検診
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