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尿失禁とは、心ならずも尿がもれてしまうことです。命に別状ありませんが、精神的にも日常生活の質を大きく損なう状態です。 1:腹圧性尿失禁 交感神経の働きでしめている、膀胱の出口の内尿道括約筋が弛んで、クシャミなどのちょっとした腹圧でチビってしまう状態です。女性に多く、加齢に伴って頻度が増加します。前立腺肥大などの下部尿路閉塞や膀胱炎、結石、腫瘍などの基礎疾患がひそんでいる場合もあるので注意が必要です。尿路の自律神経の働きは、リハビリ等で解決できないため、交感神経の働きを強める抗コリン剤等を使ったり、手術が行われます。前者は男性の前立腺肥大の尿閉を悪化させることもあり注意を要します。 2:切迫性尿失禁 膀胱自体に問題があり、突然尿がしたくなると、意図せず膀胱が収縮して尿がもれてしまう状態です。脳血管障害、脊髄障害などがベースにあることもあります。前立腺肥大に合併することもよくあります。 治療は、前述の抗コリン剤や交感神経の働きを強化するβ刺激剤(ベタニスや喘息で使うスピロペントな
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ど)が有効です。その他、トイレを我慢する膀胱訓練で、膀胱の容量を増やし頻尿を防ぐ方法もありますが、やりすぎると膀胱炎を起こす場合があるので、医師と相談の上、行うことが肝要です。その際は、排尿の記録をつけ、確認してもらうとよいでしょう。 なお膀胱訓練時の注意点は、以下です。①生理用パットや紙おむつをつけておく。②その上で、パットや紙おむつに頼らずトイレで排尿する。③局所は清潔に保つ、④尿の回数を飲水制限で減らさず十分水を飲むなどで、膀胱炎や脱水の予防をしながら行いましょう。 3:溢流性(いつりゅうせい)尿失禁 排尿障害があり、自分で尿が出せない間に溜まってきて、溢れるように出る尿失禁です。前立腺肥大に気づかずこれが起こる場合がよく見られます。 4:機能性尿失禁 整形外科的な原因や、神経の障害によって体の運動障害が起こり、トイレに行きたくても間に合わず、尿がもれてしまう失禁です。 尿失禁は、病気というより症状なので、原因が解消されれば治る可能性があります。
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