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鎌倉市大船 山口内科 

排尿の仕組みと、その障害

 おしっこが出にくい、したくなったら我慢できずに漏れてしまう、おなかに力を入れたりちょっとした振動でチビってしまう、トイレの回数が多いなど、口に出せない悩みを抱える人が増えてきました。これらの症状は、高齢者ほど多いため、平均寿命の延びに伴って、激増中です。
 ところで、尿というと腎臓が悪いと思いがちですが、これらの症状のほとんどが膀胱より下の、下部尿路と言われる場所の不具合で起こります。血液は腎臓の糸球体で濾され、尿細管で濾過物の内容や水分量が調整され、尿となって尿管、膀胱へ流れてきます。膀胱は尿を溜める筋肉でできた袋です。尿を溜めるには、
交感神経副交感神経のバランスとなり、膀胱の筋肉の収縮を緩めて溜めます。尿意は尿がちょっと溜まっても感じず、150~250mlくらい溜まると感じ始めます。我慢の限界は一般に300ml~400mlです。
 

ある程度の量になると、「膀胱に尿が溜まったよ!」という、情報が、神経を伝わって脊髄へ入ります。その情報を元に、「排尿せよ!」という指令が下部尿路の各部署に出されます。①自分の意志で排尿しようと外尿道括約筋を緩め()、②副交感神経を通して、膀胱の筋肉が収縮し尿を絞り出し()、③同時に出口を締めて尿をもれなくしていた、交感神経による内尿道括約筋の収縮を緩め、排尿が起こります()。ここで、自分の意志が通じるのは外膀胱括約筋だけで(→)、あとは自動的(自律的)に起こります。膀胱を補助する働きとして、腹筋を意識的に収縮させ膀胱を圧迫すると、よりいっそう排尿に勢いが着きます。
 成人の1日あたりの尿量は1~1.5lで、尿の回数は5回から7回程度です。






図は男性の下部尿路。女性は前立腺が無く、外尿道括約筋以下が短い。→は神経で、→交感神経→副交感神経、→体性運動神経(随意)。

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