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鎌倉市大船 山口内科 

腎臓の働きを見渡す

 腎臓は血液をこして、老廃物を尿にする解毒作用を持つ臓器として知られています。体の中に溜まると毒になる窒素系の物質を、尿素窒素や尿酸として排出するほか、不必要な塩分や水を尿として出しています。血液をこすと言うことは必要なものを血液内に残すということで、アルブミンなどの大きめのタンパク質や赤血球などの血液細胞がこされずに残ります。
 ところで、腎臓は血管と尿路系(尿細管、尿管、膀胱など)の接点です。腎臓の毛細血管である糸球体という血管の毛玉は、基底膜を介して尿細管の受け口であるボーマン嚢と接しています。ここでろ過された原尿と呼ばれる薄いおしっこは、尿細管を通り、水の99%塩分(NaClなど)の95%は周囲の血管へ再吸収され、残ったものが尿として腎盂という尿管の受け口へ出てきます。
 血液から水や塩分のほとんどを、いったん尿細管に出し、再吸収するのは能率が悪そうに思えますが、この作業によって体に必要な物質を選別し、必要な量だけ再吸収することにより、
体の水・塩分バランスをとることができます。動物が海から陸上に上がっても生きていられるのは腎臓の働きがあるからなので、水・塩分のバランスをとる作業は不可欠です。この過程で、血圧の上げ下げも調節しているため、高血圧症とも深く関連しています。

 腎臓はこのほか、様々な物質を作っています。赤血球を増やすホルモンのエリスロポエチン、カルシウムの吸収を増やし骨を強くするビタミンDの活性化、そして血圧を上げる物質の、レニン分泌です。レニンはアンジオテンシノーゲンからアンジオテンシンIを作り、そこから派生したアンジオテンシンIIは強力な血圧を上げる物質です。塩(NaCl)の再吸収を増やす働きは、アンジオテンシンIIに刺激された副腎から分泌される、アルドステロンというホルモンが担っています。レニンは血圧を上げたり、塩分吸収の一連の作業の引き金となっています。水の再吸収は90%以上が近位尿細管(糸球体に近い部分)で行われ、最後の10%が下垂体後葉のバソプレッシンの作用により集合管で吸収され、尿量は最終調節されます。






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