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記録しておきましょう。新しいガイドラインでは、間違いの無いよう、自宅の血圧は2度測って平均値をとることが推奨されています。
4)いつまで続けるか?
 できるだけ長く続けるのが良いのですが、値が落ち着いているなら週に2日程度でも十分参考になります。安定していて変化の少ない方は測定を止めても結構ですが、たまには測って普段と変わらないのか確認しておくことも大切です。
5)測定値の評価
 1回だけ、あるいは1日だけの値で上がった下がったと一喜一憂するのは得策

ではありません。5回の平均や一週間の平均をとるなどして、常に平均値で血圧の評価や薬の効果の判定をすることが大切です。「夕方頭が痛かったので心配になり血圧を測ったら普段より20mmHg高かったので朝の薬を1錠飲んでしまった。」とおっしゃる方が時々います。自己判断で服用すると、血圧が下がりすぎて、めまいや立ちくらみを覚えるなど平均で血圧の評価をしなかったことへのしっぺ返しを受けることが多いようです。血圧の薬は基本的に処方された用法どおりに飲んでください。






高血圧治療の方針

 高血圧の治療目的は、心臓病や脳卒中などの合併症を予防することです。これを達成できれば、無駄に命を落としたり、生活の質を損なわずに済みます。過去の集計によると、収縮期血圧が10mmHg、拡張期血圧が5mmHg下がれば、脳卒中が40%、冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞)が20%減ります。しかし、心臓病や血管の原因となる動脈硬化は、高血圧だけがリスク因子ではありません。そこで、血圧のコントロールに加え、他の動脈硬化要因を加味した上で治療方針を立てるのが合理的です。
 リスクの階層化の表(次ページ)をご覧ください。横方向に血圧の高さ、縦方向に心血管病リスクの多さが置かれています。右・下に行くほど心血管病を合併するリスクが高まるため、治療をしっかりとしておく必要があります。
 初診時には、高血圧管理計画のフローチャートに則り、血圧の測定だけでなく、各人の心血管リスクを

診察や検査で評価します。結果を上表に当てはめ、低リスク、中等リスク、高リスクの各群に分けます。そして、高リスク群は速やかに降圧剤治療に入りますが、中等度以下は、まず生活習慣の見直しを行い、悪い点を修正し血圧が下がるかどうか確認します。生活習慣の修正の努力を行ったにもかかわらず血圧が下がらなかった場合は降圧剤の治療に入ります。
 なお、血圧は上下するのが当たり前なので、日時を変えて何度か測定し、常に高いのか、見極める必要があります。
降圧目標は74歳以下が、140/90mmHg未満(家庭血圧では135/85mmHg未満)です。75歳以上の後期高齢者では、150/90mmHg未満(家庭血圧では145/85mmHg未満)です。糖尿病や慢性腎臓病(CKD)を持つ方は、これより10mmHg低い値が目標とされています。できる範囲でこの目標の達成を目指しましょう。
 
     
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