鼻と副鼻腔、耳管の構造と働き

 鼻腔は、2つの鼻の穴からノドまでの、空気の通り道をイメージしてください。空気がこの通路を通ると、気管や肺に入る手前で、細かいチリが鼻毛でろ過されます。また、ここで空気を温めたり湿度を調節し、肺にやさしい気体にしています。そして、空気に含まれる微量な化学物質の成分をニオイとして感じる神経端末が鼻粘膜には存在します。
 ところで、これだけの機能を片側10mlにも満たない、あの狭い鼻腔でできるでしょうか?特に空気の質の調節は不可能です。そこで、
空気をほんの一瞬でも溜めることができるある程度のスペースが必要となります。これが副鼻腔です。
 副鼻腔は、頭蓋骨の骨の厚みの中にできた空洞で、図のように
4つあります。目の下と上あごの間にある最も大きい上顎洞(じょうがくどう)、目の上から額にある前頭洞(ぜんとうどう)、目の間にある篩骨洞(しこつどう)、そして鼻の奥にある蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)です。これらはちょうど眼球を取り囲むように配置され、目を守る働きもあります。空洞の内部は鼻と同様な線毛と呼ばれる細かい刷毛や、粘液の分泌を行う粘膜で裏打ちされており、鼻粘膜の延長として、鼻の機能をサ

ポートしています。副鼻腔は空気の入る空洞なので、ギターの胴体のように、音を響かせる働きがあり、炎症で響きが悪くなると鼻声になります。これらの副鼻腔は、鼻腔から狭い入り口でつながっています。空気や副鼻腔の分泌物はこの入り口から出入りしています。鼻炎などの鼻の炎症のはれで入り口がふさがると、分泌物が出ずに腔内に溜まったり、腔内に炎症を起こします。この結果、副鼻腔の内圧が上がって痛みます。副鼻腔炎で目の奥や周囲が痛くなるのはこのためです。
 鼻腔は、鼓膜の奥の鼓室(中耳)とも内側からつながっています。鼓室とつながるこの耳管は、鼓室の圧を大気圧と等しく保ったり、鼓室内の分泌物を鼻へ排出することです。このため耳管がつまって機能しなくなると、音が聞こえにくくなるだけでなく、副鼻腔同様に炎症を起こし、中耳炎となります。電車がトンネルに入ったり高層ビルのエレベーターに乗ったとき、耳がつまった感じがするのは、気圧が急速に下がり、耳管が閉塞する症状です。この症状を、エレベーターや飛行機、トンネルの中以外で感じたら危険信号です。






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