図のように、人の体に縞模様を描いたものをデルマトームと呼びます。体の神経は、脳から背骨の中の脊髄を通り、背骨の隙間から末梢神経となって全身に分布します。背骨は頸椎(C)が7つ、胸椎(T)が12、そして、腰椎(L)が5つ、仙骨(S)が5つあります。その一つ一つの間から末梢神経が出ており、それらの皮膚上の分布を描いたものがデルマトームです。
 すなわち首がC2、C3で、手の親指がC6、中指がC7、小指がT1、胸の乳首あたりがT4~T5、お腹のおへそがT11、太股がL2~3で足先がS1。そして泌尿生殖器、肛門がS3~S5です。
 このように、皮膚の神経の分布は縞模様に塗り分けることができるほど整然と並んでいるため、体のどこ

の痛みやしびれがあるかによって、いったいどの末梢神経や脳・脊髄の部分に問題があるのかすぐわかります。
 例えば、帯状疱疹が左のT10の神経で暴れると、図のお腹や背中のように、T10の帯に沿って赤い湿疹や水疱が形成されます。そして水疱が治っても、T10の帯に沿ってビリビリとした痛みや、ジンジンするしびれが残ります。
 また、頸腕症候群でT7の神経が圧迫されると、中指の触覚(触った感じ)が鈍くなったり、ジーンとする違和感が出ます。
 なお、顔と指のしびれや筋力低下など、この分布に従わなかったり、離れた2つの領域にまたがる場合は、末梢神経ではなく、脳などの中枢神経に問題があることが考えられます。






神経の分布とデルマトーム

頸椎症
 頸椎の椎間板ヘルニアや、骨棘形成などの骨の変形で、首から腕へ伸びる神経が圧迫されしびれをきたす病気の総称です。交通事故、スポーツ傷害による頸椎症もあります。一般的にデルマトームに沿った1~2領域にしびれがきます。この分布と大きく外れた連続しない2カ所にしびれが

出る場合は、頸椎症のような末梢神経障害ではありません。診断には、頸部MRIやレントゲンなどの画像診断が有用です。
頸肩腕症候群
 首や肩、後頭部の筋肉などのこわばりや緊張によって、肩こり(筋肉痛)や手のしびれをきたす疾患の総称で、頸椎症のようにMRI

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