二つのタンとその区別

 タンは、気道(気管支など)からはき出される、粘りけの強い分泌物です。セキをするとき同時に出てくるので、気管支や肺など下気道の分泌物と信じられています。ところが、気管支以下から出てくる粘液性物質がすべて下気道由来とも限りません。それは、鼻や副鼻腔など上気道からの分泌物も、よく気管に吸い込まれ、異物としてセキによって口からはき出されるからです。従って、気管支や肺で分泌されたモノが本来のタンで、鼻からノドに落ち(後鼻漏)、気管に吸い込まれた後、出てくるモノは元々鼻汁と言うべきで、区別する方がよいと思います。しかし、残念ながら医療の世界でも、タンとして、一緒くたにされています。
 この区別をすることから、セキの原因診断や治療が始まるので、できるだけはっきり識別しておきましょう。見分け方のポイントは以下の通りです。自分の呼吸やセキを振り返ったり、お子さんを観察すればすぐわかります。

後鼻漏の特徴(鼻炎や副鼻腔炎の症状)
1)鼻をズルズル吸っている
2)ノドが痛い(後鼻漏がノドにくっつ
  き、ノドの粘膜が焼ける)
3)鼻づまりが強い
4)黄色い鼻が出る
5)目の上下や鼻の周りが痛い
6)耳がつまる
7)突然むせるようなセキがでる
  (吸い込んだ症状)
下気道からのタン
1)後鼻漏・鼻症状の特徴がない
2)息切れ、酸素欠乏の症状がある
3)動悸がする
4)胸が詰まる感じがする
5)胸部レントゲンで陰が写る
 区別はだいたいこんな感じですが、下気道のタンは上気道の分泌物を吸い込んでくっついたモノの可能性がありますので単純ではありません。






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