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セキの多くは次のように起こります。気管支(気道)粘膜の神経末端が異物を感知すると、その情報を中枢神経へ送ります。そこで、即座にセキで出すべきと判断すると、運動神経が横隔膜や肋間筋に反射的でつよい運動をおこす指令を伝えます。この急激な呼気運動がセキと言われるものです。急激で強い力のかかる運動なため、肋骨を折ったり、筋肉痛を起こすこともあるほどです。適切かどうかは別として、セキは一般に次の二つに分類されます。 湿性がい嗽: 黄色く湿って粘りけの多い、タンのような分泌物が出てくるセキです。タンは気管支や肺由来の炎症の強い分泌物と考えられているため、肺炎や肺ガンなどが、湿ったセキやタンの原因と考えられています。イメージは"ゴホゴホ"でるセキです。 乾性がい嗽: あまりタンが出ないか、出ても透明な水のようなものであるセキを、乾性がい嗽と呼びます。ぜんそくや、マイコプラズマ肺炎などの間質性肺炎が典型的です。イメージは、"コンコン"でるセキです。コショウやトウガラシ、化学物質を吸い込んで出る突然のセキも、この仲間です。 これらのセキは、前述の気管支(気道)にある物体や化学物質を感じる神経末端(セキ受容体)が刺激されたり、気管支平滑筋の収縮によって気道内腔が狭まったという情報が、延髄のセキ中枢へ伝達され、そこでセキをすべきと判断さ
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れると、セキをする命令が呼吸筋に伝えられ、爆発的な呼気運動で空気だけが吹き出されます。 クシャミ: セキの反射と似ていますが、セキ受容体でなく、鼻など上気道にある三叉神経末端が刺激され、セキと同じく、爆発的な呼気運動が起こります。花粉症やアレルギー性鼻炎でおこり、クシャミに先だって鼻がムズムズしたりノドがイガイガするのが特徴です。セキでは、気管支など下気道がムズムズしたりイライラするのと対照的です。 具体例を花粉症で示します。①スギ花粉を鼻に吸い込む。②鼻の粘膜上にある、スギ花粉に反応するIgE抗体が付着した好塩基球と呼ばれる白血球の抗体側に花粉が付着する。③好塩基球からヒスタミンが分泌される。④ヒスタミンが三叉神経末端を刺激する。⑤スギ花粉を鼻粘膜に吸い込んだという情報が延髄へ伝わる。⑥延髄が運動神経を介し、呼吸筋に花粉を体外へ追い出す運動をせよと指令する。⑦呼吸筋がクシャミと呼ばれる爆発的な呼気運動を行う。と、いった具合です。 クシャミの動作がセキと違うのは、吐く息の通り道です。セキは効率よく大きな呼気をするため、主に口から息を吹き出します。クシャミは鼻の粘膜上の異物をどかすため、口に加え鼻からも大きな呼気を吹き出します。逆にセキとクシャミの共通点は、どちらも不随運動であり、自分の意志では止められないこと、生体防御の一種であることなどです。
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