「セキが止まらない。」という症状が悩みで来院される方がよくいます。そんな方はたいがい、「セキが止まる薬を下さい。」と訴えます。そこで「セキを止める薬はあまり効きませんよ。」とか、「セキを止める薬を使うとかえって治らなかったり、病気を悪化させますよ。」と、言うと怪訝な顔をされます。今回は、セキを止めてよいのか?セキは果たして体によいのか悪いのかなどを、考えてみましょう。 セキとは、気道内部の異物を、吐く息の強い力ではき出す、体を守る大切な防御反応です。異物ははき出されないと、気道の奥にとどまって炎症を起こし、肺炎に進みます。このように体の自然な反応を、無理に止めると、病気から体を守れなくなります。また、セキは、ぜんそくで気管支が狭くなったり、肺気腫で膨らんだ肺に気管支が押しつぶされたとき、はく息の勢いで狭い場所を押し広げる働きもあります。この場合もセキを止めると息がしづらくなってしまいます。
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