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胸の痛みを感じると、すぐに「心筋梗塞では?」と、病院に飛び込み、カテーテル検査を受けたという話をよく聞きます。天皇陛下がバイパス手術を受けてから、特に心臓・冠動脈についての関心が高まっていることもあるでしょう。 しかし、胸の痛みが全て心筋梗塞や狭心症であるはずが無く、ほとんどはそれ以外の原因です。まずは胸痛の場である、胸部のパーツを見てみましょう。 胸の中にある臓器は、中央部、胸板の裏に心臓があります。そのまた裏にノドから胃につながる食べ物の通り道、食道が縦に通っています。また、心臓と食道を取り囲んで守るように、スポンジ状の肺が肋骨の内側に詰まっています。ちょうど、段ボールに壊れ物を包むときに周りに詰める、発砲スチロールのクッションような感じです。ノドとこの肺を結んでいるのが、気管・気管支です。その他、心臓の上方・前に胸腺がありますが、ごく小さいか大人では小さく退化しているので、痛みの原因になることはまずありません。まれに、横隔膜の隙間から、腹にある胃の一部が胸部にはみ出て痛みの原因になることがあります。
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臓器以外の体のパーツは、骨や筋肉などの、いわゆるボディーのパーツと皮膚です。骨は、胸板の胸骨、それと腕を結ぶ鎖骨、体の心棒である胸骨(背骨)、そして、胸の内臓を取り囲むように守る肋骨です。骨は、体を支えたり動かすときのテコや支点・力点になり、動かす動力はみな筋肉です。筋肉は、胸板を覆う大胸筋、背中で首とつながる僧帽筋などが有名ですが、他にも大小の筋肉が胸を取り囲んでいます。また、肋骨と肋骨の間には肋間筋といって、胸をふくらませる筋肉があり、胸と腹を仕切っている横隔膜(膜状の筋肉)と共同し、呼吸動作をしています。 筋肉の外は脂肪、そして、最外層には皮膚があり、胸を守っています。皮膚は丈夫なので、切ったり物が刺さったりしない限り痛むことはありませんが、皮膚の層の中を走っている神経や血管が痛みの原因になることがあります。 このように一口で胸と言っても、臓器だけでなく様々なパーツを含みます。胸痛→狭心症・心筋梗塞と短絡的に考えるのは早計だとおわかりいただけたでしょう。
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