うつる肺炎

 インフルエンザと同様に、人や動物がしたセキの中に病原体(細菌やウイルスなど)が入っていて、それを吸い込んでなる肺炎をここでは"うつる肺炎"と呼びます。代表的なものはマイコプラズマ肺炎や、オーム病(クラミジア)、そして肺結核などがこのタイプです。その他、古くから人の命を脅かしてきた、麻疹(ハシカ)、風疹、百日咳など予防接種の対象になっている疾患も同様にうつります。エアコンの冷却水や循環式の入浴施設などで感染する、レジオネラ菌(在郷軍人病)もこの仲間です。
 飛沫と呼ばれるセキと共に吹き出される霧状になった唾の中に含まれた病原体を、飛沫ごと吸い込んで、

感染はおこります。また、空気に浮遊している病原体を吸い込む、空気感染と呼ばれるコースもあります。
 なお、必ずしも全ていきなり肺へ入るわけでなく、いったんノドに定着し様々な上気道症状を呈し、その後ウイルス性肺炎に進んだり、こじれて細菌性肺炎を併発する麻疹のようなものもあります。
 うつるタイプの肺炎にも様々な病原菌があり、病状も単一でないため一括りにできません。しかし、古くから命定めと呼ばれた麻疹などは、人にうつったため、「カゼや肺炎はうつるものだ。」という先入観が生まれ、人々信じ込んできました。幸いこれらのうつる病気の多くは、ワクチンなどにより、現在では希な病気となりました。






うつらない肺炎の予防と治療

肺炎球菌・インフルエンザ菌の予防:
 肺炎球菌やインフルエンザ菌の肺炎は、ノドや鼻に常在する細菌を吸い込んで起こります。そこで次の予防が有効です。
1)吸い込まないようにする
 カゼをひいて、鼻水がノドに落ちてきたら要注意です。このノドに垂れた鼻を"後鼻漏"と呼びますが、カゼをひいて扁桃腺が腫れて痛いとやってくる患者さんのほとんどが、実は後鼻漏によるノドの痛みです。ノドが痛くなって咳き込む症状の多くは、後鼻漏を気管に吸い込むことが原因です。セキがひどくなって気管から上がってくる痰が

増えると肺炎になりかかっている可能性があります。
 このようなカゼから肺炎に至るルートを放置せず、早めに治療しておくことが肺炎を予防する第一歩です。
2)ワクチンによる予防
肺炎球菌は細胞の莢膜のタイプだけで90種類以上あり、これを全て防ぐことはできません。しかし、その中で多数派を占めている強力な細菌だけでも防げれば、肺炎になる可能性は減ります。これが近年、高齢者に推奨されている肺炎球菌ワクチン(ニューモバックスNP)です。これは23種の肺炎球菌株に対するワクチンで、実際に肺炎で検出

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 肺炎球菌ワクチンの推奨接種対象者 |
うつる肺炎、マイコプラズマ