鎌倉市大船 山口内科 すこやか生活13巻4号
すこやか生活
ぜんそく(喘息)の成り立ち
夏も終わり、セキをしている人が目立ち始めました。ぜんそく(気管支喘息)の季節が到来です。 喘息とは息(いき)が喘(あえ)ぐという意味です。名前のイメージどおり、息をするたびにゼーゼー、ヒューヒュー気管支から喘ぐ音がして、夜も寝ていられません。古来より、息が喘ぐのは気管支が窮屈になったためで、それを広げれば症状が改善するため、様々な気管支拡張剤が治療に用いられてきました。これらは現在でも喘息治療で重要な役割を果たしています。近年、喘息の主因は気道(気管支)粘膜の炎症と考えられているため、吸入ステロイドによる炎症の軽減が中心的な治療となっています。秋は、ブタクサ、ヨモギの花粉が舞い、それを吸入して喘息を発症するというわけです。 さて、実際にこの時期は夜間救急は喘息の患者さんがつめかけます。そして、気管支拡張剤で発作が治まったら、ガイドラインやウェブサイトで推奨されている吸入ステロイドを処方されるケースがほとんどです。しかし、吸入ステロイドを吸ってもなお、夜間痰が絡んだり咳が出て眠れないといって来院する方があとを絶ちません。 これらの喘息が治まらない人が診察室に入ってくると判で押したようにする仕草があります。それは、入って来るなり"鼻をズーッと吸い込む"ことです。聴診前、今までの経緯を問診している最中
に、たいがい3回はズーッと鼻をすすります。「鼻でも悪いんですか?」と、尋ねると、こちらも決まって、「いいえ、春は花粉症でよく鼻をかみますが秋は大丈夫です。」と、お答えになります。 もうピンときた方もいると思いますが、アレルギーが原因のぜんそくと、アレルギー性鼻炎が同時に発症していることが考えられます。病院へ来るとまず、主訴という最も問題となっている症状や病気を尋ねられます。すると、"主訴:ぜんそく、咳、不眠"などぜんそくと直接関連がある症状を訴える方がほとんどです。そして、ノドが痛かったり鼻をかんだりつまったりするなど、それ以外の周辺事項は頭からすっかり消えてしまいます。そこで、「さっきからずっと鼻をすすっていますよ。」と言うと、「そういえば、数日前からよく朝晩クシャミがでていました。」と、やっと自分の鼻の具合が崩れていることに気がつきます。こんな方が鼻炎の薬を飲むと、ぜんそくは霧消します。 一般にはアレルゲンを気管支に吸い込んでぜんそくになると信じられていますが、必ずしもそうとばかりは言えません。今回は、ぜんそくの迷信を払拭し上手な接し方を紹介します。
体にものが入る3ルートとセキ
人体に物質が入るルートは3つあります。@口から食道、胃腸の経消化管ルートA鼻から口、気管、気管支、肺の 経呼吸器ルート
B皮膚から皮下血管の経皮ルート @は食べ物や水、Aは空気、 Bは軟膏や湿布剤などが主に入る物質で、体外に出てくるルートは、これらにC腎
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