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ますが、それもこのタイプの失神です。人混みや閉鎖空間などの環境でもこの反射は誘発され、電車に乗れなくなる方もいます。
 血管迷走神経性失神は基本的に心配のない意識障害ですが、意識を失って倒れ、頭をぶつけてけがをするなど2次的なトラブルの原因となります。
頸動脈洞失神
 首の頸動脈が過度に圧迫され、その反射として血圧が下がるものです。ネクタイを締めたり、後ろを向くだけで起こることがあります。頸動脈洞の圧を感じる部位の圧迫で、副交感神経が刺激され、血圧の低下に加え、心拍数がガクンと減り、循環血液量が急減し、失神を誘発します。
状況失神(反射でなく運動状況に応じる)
 排尿、排便、飲み込み、咳、嘔吐、息こらえなど、消化管運動、呼吸運動、排尿運動などの副交感神経の働きによって起こる運動を行ったとき 同時に血圧が下がって失神

を起こすものを特に状況失神と呼ぶことがあります。血管迷走神経性失神の亜型と考えてもよいでしょう。
診断)一般にいつどのような状況で失神が起きたか詳しい病歴を聞くことからおおよその診断がつきます。また、心臓が悪いなど他の血圧が下がる病気の有無を確認することも大切です。
治療)基本的に心配のない失神だということを自覚することから始まります。
 次に、生活環境や社会環境、そしてその上でのストレスが何か考えてみてください。日常生活では、飲酒、睡眠不足を避けることなどが大切です
 発作直前に。頭重感、腹痛、吐き気や眼前暗黒感などを覚えることがあり、これらの前兆症状が出た場合、速やかに腰掛けたり、横たわることが大切です。頭を下げる動作が無理な満員電車の中などでは、少し手や足を動かしたり、組むことで足の血液を循環系に戻せば予防効果が出ます。







起立性低血圧

 俗に「脳貧血」や立ちくらみという症状です。自律神経のうち、血圧が下がったとき元の血圧に上げる働きのある交感神経の瞬間的な反応が遅れ、血圧が元に戻らずにおこる、起立時のめまいやふらつきです。
 神経反射速度が落ちている高齢者や降圧剤を服用している方、そして自律神経に問題が生じている糖尿病やパーキンソン病の方によく見られます。
 寝ている姿勢から起きあがると、胸部から足や腹部に500ml〜800mlもの血液が下がります。心拍出量も減って血圧が下

がります。血圧が低下すると大動脈や頸動脈洞で感知し、交感神経の働きで血圧を元に戻します。この回路がうまく働かず出るめまいです。一般に起立3分以内に収縮期血圧で20mmHg、拡張期血圧で10mmHg以上低下すれば起立性低血圧です。@脱水にならないこと、A起きあがる前に目を覚まし、「起きるぞ!」と気合いを入れてからゆっくり起きあがること、B貧血があれば解消しておくことなどが対策です。

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