背中の曲がりと内臓症状

 背中が曲がるとひずみの影響は体の外側だけでなく、内臓にも及びます。図のように、お腹や胸が圧迫され、内臓が落ち着くスペースが減少します。このスペースの減少が症状の主原因です。それ以外の原因についても整理しました。
1)胸やけと胃食道逆流症
 前屈みになるとお腹が押されるので胃腸がふくらむ余裕が無くなります。そこで少し食べただけでもお腹がいっぱいになり、ゲップや胸やけに悩みます。横隔膜から下の圧力が高まるので、横隔膜の隙間が広がり、胃が胸までせり上がってきます。(食道裂孔ヘルニア)こうなると、食道と胃のつなぎ目がガバガバになるため、塩酸である胃液が逆流し、胃酸に弱い食道の粘膜を荒らします。これが、胃食道逆流症(逆流性食道炎)です。もちろん少し食べるだけでムカムカするので食欲も落ちてきます。口が苦かったり、臭くなるのも胃液が逆流するためです。
該当する方は減量を考えてください。
 胃酸過多に対しては、ランソプラゾールなどのPPIやザンタックのようなH2-ブロッカーなどの胃薬が有効です。
2)便秘
 図のように排便する時には、腹筋が腸を押し、便を絞り出します。丁度、手でチューブを絞り出すかのよう

です。ところが、背中が曲がると、胸の下端と骨盤の距離が近づきそこをつなぐ腹筋がたるみます。筋肉がたるむと、縦に収縮しても腸を押さえる力を発揮できず、十分腸を絞り出せません。こうして、背中が曲がった人は便秘になりがちです。たるんだ筋肉では腹筋トレーニングをすることもできず、リハビリでも便秘が解消できません。そこで、野菜や海草などの食物繊維を多く食べたりヨーグルトを飲むなど、便秘しにくい食生活を心がけてください。
3)息切れ・呼吸障害
 背中が曲がると、お腹が圧迫され、胃、肝臓などの腹部の臓器がせり上がってきます。元々スポンジのような肺は下からの圧力を押し返すことができず、押しつぶされます。肺がつぶれると十分空気が吸えず、呼吸に余裕がなくなります。こうして少し動いただけでも息切れがしたり、セキが出たりします。これは、構造的な問題なのでなかなか適切な解決法がありません。そこで、動く時はできるだけゆっくり動きましょう。
4)動悸・胸痛
 3)と関係がありますが、呼吸が苦しくなると、酸素不足を血液循環を早回しにすることで補おうとし、心臓が頑張ります。このため、心臓の鼓動が早まり大して動いていないのにドキドキします。肺ほどではありませんが、心臓も周囲から圧迫されることがあり、この場合は心拍出の効率が落ち、動悸がしてきます。
 胸痛はすぐ心臓に結びつけがちですが、背中が曲がった人の胸痛の多くは逆流性食道炎や食べ物が食道につかえた症状です。胸が詰まったような胸痛を覚えたら、まずは少しでも背中を伸ばすような姿勢をとり、少量の水を飲んでつかえが取れるか試してみましょう。






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