|
|
|
|
|
|
医学の進歩と分子生物学の果実の結果、様々なタイプの新しい薬が生まれました。今回はそのうちの主なタイプの薬を取り上げます。
1)分子標的薬 病気の原因となる体内の物質を直接攻撃し、原因物質の働きを抑えたり、廃棄処分へ持っていく薬です。〜マブ(-mab)という、モノクローナル抗体と呼ばれるタンパク質や、チロシンキナーゼ阻害薬が代表です。前者は物質と直接くっつき攻撃する免疫抗体です。モノクローナルとは、動物由来の細胞を培養し遺伝子を操作して、ピンポイントで物質を攻撃する抗体タンパクです。人の体内の細胞が作る多様性のある抗体と異なり、人体では作ることができないどれもが全く同じでデジタルファイルのコピーのような抗体です。後者はガン細胞が生きるのに必要なリン酸化酵素のみを抑え、ガン細胞を殺す物質です。 分子標的薬のよい点は、攻撃する対象が限定されているため、攻撃の目標とは異なる細胞には害が少ない点です。反面、一つの薬効しか期待できず、効果が限定されてしまいます。また、新薬の宿命として、高価なことも難点です。
2)ワクチン 種痘やBCGに始まり、麻疹や風疹、インフルエンザなど、ワクチンは多くの感染症の予防に使われてきました。これらは主に感染症が起こす流行性の疾患です。近年は肺炎球菌ワクチン、HiBワクチンなど、元々体内に同居している細
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
菌に対するワクチンや、ウイルスが直接起こす炎症の予防ではなく、何十年も先に起こるかもしれないガンの予防に役立つ子宮頚ガンワクチンが出てきました。これらは、従来の外敵に対する感染症対策のワクチンと異なり、微生物が起こす中長期的な合併症予防が目的です。従来のワクチンは流行を防いだり、致命的な病気の予防のため、お子さんを中心に公的な接種が行われています。新しいワクチンは、流行とは関係なくかかっても問題が起きない可能性の方が高い感染症であるため、個人の希望に沿った接種が行われてます。これらは一部の先進国で公的接種の対象となっているため、日本の予防接種行政は遅れていると非難されています。しかし、医療制度の違いもあり、この指摘は必ずしも正しくありません。1/3の人が保険未加入で医者にかかれない、先進国中最低の医療保険制度を持つアメリカでは、せめて予防接種くらいしておかなければ目も当てられないからなのです。
3)合剤 2つ以上の薬をミックスしたものです。かぜ薬のPLや市販のパブロンなどが合剤の代表です。副作用が起こったとき、何が原因かわからなくなるため、厚生労働省はいままで合剤に消極的でした。ところがアメリカで合剤が普及しているため日本の医学会が追従し、近年役所も重い腰を上げた次第です。 合剤のメリットは、価格が安く設定され服用が面倒でないことです。デメリット
|
|
|
|
|