薬まかせで大丈夫?

 糖尿病治療薬のパラダイムシフトがおきようとしています。糖尿病の方にはありがたいニュースばかりですが、果たして糖尿病の治療を薬まかせにして良いのでしょうか?
 新薬は、結局治療法に新たなオプションを加えました。しかしそれだけで、HbA1cが5.8%という正常な血糖値に近い状態にコントロールできるわけではありません。HbA1cをせいぜい1%下げるのが精一杯なので、効力はインスリンや、SU剤、メトホルミンやチア

ゾリン系と大して変わりはありません。強いて言うと、低血糖の危険が少なく、薬による体重増加が見られないことくらいです。
 それでは何が一番大切か?それは、
糖尿病治療の基本は「食事&運動療法」であって、薬は脇役だという自覚です。結局漫然と食べていては、どのような新薬が出てもイタチごっこで血糖値は下がらず合併症も出てしまいます。何事も基本が大切です。くれぐれもお間違いなきようお願いいたします。


SGLT-2阻害薬
 血液は腎臓で濾過されます。血液中の糖はいったんそのままの濃度で尿細管へ濾し出されます。そして、170mg/dl以下の糖分はほとんど再吸収されて血液中に戻ってきます。このため正常な人では尿に糖が混じることはありません。いったん出た尿糖の再吸収を抑え余分な糖分をどんどんオシッコに出して血糖値を下げていこうというのがSGLT-2阻害薬の原理です。尿に糖が出るのは悪いことであるという常識を逆手にとって食べ過ぎた糖分を筋肉で燃やさず、そのまま捨ててしまおうという発想です。この新薬も治研が進み、この1〜2年の間に登場してくる予定です。その他、GPR119作動薬など、新薬の開発が目白押しです。

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