呼吸不全と在宅酸素療法

 呼吸不全や心不全で、動脈血酸素分圧(濃度)が、PaO2 60Torr以下となった場合、健康保険を利用し自宅でも酸素吸入が行えます。囲み記事のパルスオキシメーターではSpO2 90%未満に相当します。血液中の酸素濃度が低いと、心臓に負担がかかるだけでなく全身の細胞が酸素欠乏を起こし、あちこちの具合が悪くなります。呼吸不全の典型的な症状として、息切れ、足のむくみ、疲れやすさ、喘鳴、呼吸困難を自覚します。
 在宅酸素療法は酸素を吸うことにより酸欠から体を守る治療法です。自宅にいるときは据え置き型の機械で、空気中の酸素を濃縮して吸入します。電気で濃縮するのでコンセントがあるところなら、どこでもいくらでも濃い酸素を作れます。酸素欠乏は、動くときほど症状は増悪します。そこで出かけるときは小型の酸素ボンベを持っていきま

す。こちらは液体酸素が入っているので、数時間で空になってしまいます。最近は息を吸ったときだけ酸素が出てくる弁の様なバルブが着いたボンベが主流となり持続時間が延びました。
 なお、酸素を吸っていると楽なので、体は自然と呼吸をサボり始めます。あまり濃い酸素を吸うと呼吸回数が減るので、二酸化炭素を体外へ出すことができなくなることがあり、二酸化炭素が溜まります。二酸化炭素はたまり初めは呼吸を促進しますが、ある程度たまると呼吸の神経がマヒしてきて、益々呼吸をサボる悪循環に陥ります。従って換気が悪く二酸化炭素が溜まりやすい人は、夜間の濃い酸素の吸い過ぎは要注意です。
 在宅酸素療法を行っている人の内訳は
COPDが48%と最も多く、結核の後遺症18%、間質性肺炎15%、肺ガン5%の順番です。






過換気症候群
 ストレスが原因で息苦しい感じを覚え、焦って呼吸をしすぎると、二酸化炭素が体の中からどんどん出ていきます。すると体はアルカリ性になり、手足が冷たくなったり筋肉がこわばり、心臓はドキドキします。苦しい感じがするので益々呼吸をして悪循環に陥ります。こんな時は、息を紙袋にはいて、もう一度それを吸い戻し、体内の二酸化炭素濃度を上げます。すると体が中性に戻り楽になります。必要に応じて安定剤をつかい、原因となる精神的なストレスを緩和します。




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