すこやか生活

第10巻11号 

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COPDと喫煙

 COPDとは、タバコの煙などの有毒粒子やガスを吸い込み、気管支の先に炎症が起きる病気です。この炎症によって、気管支の先が狭くなり、空気の通りが悪くなったり、肺胞が壊れて空気がたまる気腫ができます。この狭くなった気管支は気管支拡張剤である程度広がりますが、喘息のように完全に元どおりにはなりません、
 さて、このCOPDですが、明らかな有毒ガスや煙を吸い込んでいる場合以外、ほとんどがタバコが原因と考えられています。喫煙者のすべてに発症するわけではありませんが、15%〜50%と高率であり、高齢化や発展途上国の喫煙人口の増加によって10年後には、世界全体の死因の第4位になると予測されています。日本の調査では、軽いものを含めると人口の8.6%

(男性13%、女性4.4%)と非常に多く、しかもそのほとんどがきちんと診断されていなかったり治療されていません。現在でもCOPDは日本の死因の第10位で、知られざるありふれた病気という感じです。
 タバコの悪影響が深く関与している病気なので、禁煙すると最初の1年にかなり呼吸機能は改善し、多くの方が禁煙の効果を実感されています。これは、タバコによる気道の炎症が改善し、痰が減ったり、気道の狭窄がとれたためです。タバコによる一酸化炭素中毒も速やかにとれるので、息切れも軽減します。
 治療の基本は有毒粒子やガスを吸い込まないこと、気管支拡張剤(抗コリン剤、β2刺激剤、キサンチン製剤)の使用による気管支拡張、ステロイド吸入薬による気道炎症の改善です。








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