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煙たい存在

 2005年の統計では、日本人成人男性の喫煙率は39%、女性は11%です。男性は減少傾向ですが、女性では逆に増加気味であり、先進国の中で、もっとも喫煙率の高い国です。
 先進国では肺ガンを含めたタバコによる死亡者数は減少傾向ですが、日本や発展途上国では引き続き増加しています。
 このような状況の中、禁煙を推進する動きは広がりつつあり、タクシーや電車、飛行機の中、病院や公共機関などタバコを吸えない場所が増えてきました。神奈川県では、21年3月24日に禁煙条例(受動喫煙防止条例)が成立し、22年4月1日より施行されることになりました。内容は、「学校や病院、官公庁、公共交通機関など公共性の高い施設の室内を喫煙所以外は全面禁煙とし、大規模飲食店などは禁煙か分煙を導入するよう求める。違反者には過料(施設管理者2万円、個人2千円)を科す。 」と、初めて罰則規定が適用されます。もっとも、運用の先送りや小規模施設の適応除外など、事実

上は相当の骨抜きをされていますが、社会の流れとしては大きな一歩を踏み出しました。
 また、18年よりタバコを吸っている人には"ニコチン依存症"という病名がつけられ、健康保険による禁煙治療が認められるようになっています。
 国会ではタバコ一箱の値段を
1000円にすべきだという論議まで起こっており、世はまさにタバコ容認社会から、脱タバコ社会へと舵を切っています。
 映画やドラマの中でタバコを格好良く吸う俳優の姿はかつてはあこがれの的でした。中高年の視聴者はまねをして、結果的にニコチン依存症になってきました。ところが最近では、ハリウッド映画の主人公もめったなことではタバコを吸いません。俳優さんも自分の健康を意識して、タバコを吸うのも芸のうちと考えなくなったのかもしれません。タバコを吸うと周囲の人に受動喫煙させることになります。喫煙は、ますます煙たい存在になってきたようです。






なぜ今、タバコの害が叫ばれるのか?

 人生50年の時代は、私の歳くらいになると、そろそろあの世に行く準備をしていました。そんな短い人生の世の中では、多少タバコを吸っても、タバコの害が体に行き渡る前に結核などの感染症その他で命を落としていました。ところが人生80年、90年の世の中になるとそうは問屋が卸しません。
 タバコを20歳から吸い始めても10年、20年は大した害を意識できません。しかし40年、50年続けると、肺にガンが発生

したり肺気腫になります。タバコは歴史上人が吸い始めてから400年ほど経っていますが、つい50年ほど前まであまり害があるとは考えられていませんでした。また、ニコチン依存となっても麻薬や大麻のように幻覚が見えたり精神異常を来すこともなく、危険なものとも考えられてきませんでした。逆に、ニコチンを吸うと一時的に頭がスッキリするのでアルコール同様の嗜好品と思われてきました。しかし今日、人の寿

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