すこやか生活
第10巻1号
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(2 ページから続く)
す。ノドがイガイガするのは鼻汁がノドに落ちた結果であることが大半です。しかし、胃酸の逆流によるノドの炎症である場合もあるのです。
気管支:寝ている間に胃酸がノドまで上がると、吸い込んでむせてしまいます。これを何度も繰り返すと胃酸は強いので、気管支にも炎症を起こし、ぜんそく症状を呈します。
GERDの原因と悪化要因
3つの主な原因について図示しました。 A)は基本図です。横隔膜の隙間に食道と胃のつなぎ目があります。つなぎ目には括約筋があり食べたものや胃酸の逆流を防ぐ弁の働きをしています。 B)横隔膜裂孔ヘルニア--横隔膜の隙間が広がると、つなぎ目を外側から締め付けることができず胃が横隔膜の隙間から胸へ滑り上がります。横隔膜の締め付けが無いと、つなぎ目の括約筋だけでは胃の入り口を閉じることができず、パカパカに開きます。もはや手術でしばる以外、逆流を阻止するすべはありません。
C)お腹の中のさまざまな物で胃が圧迫されるパターンです。胃が圧迫によって搾られると胃酸はピュッと戻ってきます。肥満による内臓脂肪が原因で、アメリカなどの過食社会では消化器病の中心です。一時的な食べ過ぎや、便が腸に充満した便秘、妊娠なども同様です。肥満の蔓延により日本でも増えてきているのは、豊かな現代社会の負の側面です。 D)背中が曲がり前かがみになると胃が圧迫されます。高齢者、特に女性に多いパターンです。背中が曲がる最大の原因は骨粗鬆症による胸椎や腰椎の圧迫骨折です。こちらは高齢化社会の副産物で、GERD増加の原因の一翼を担っています。
A)基本図:正常な食道・胃・横隔膜・背骨の関係
B)食道裂孔ヘルニア---横隔膜が弛み食道と胃の逆流防止弁が開く
C)内臓脂肪が胃を圧迫。肥満に多い。食べ過ぎや便秘も同じ。
D)背骨が曲がり前かがみになり胃が圧迫される。骨粗鬆症を起こした高齢者に多い