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「食べてすぐに寝ると牛になっちゃうよ。」これは、私が子供の頃の母の口癖でした。きっと、私は夕食後ごろごろしながらテレビを見ていたのでしょう。子供心に、寝ている間に角が生え、牛になったら困ってしまうなと、本気で思っていました。 ある程度大きくなってからも同じ話を聞かされると、まだバカなことを言っていると苦笑したものです。それからしばらくこの話は考えたことがありませんでした。 ところが最近、孫に同じ話をしているのを聞いて、またかと思いましたが、ちょっとだけ頭のなかでイメージしてみました。すると、あろうことにこの話は真実らしいことに気がついたのです。 牛や羊などの草食動物は、消化の悪い草を栄養にするため、反芻(反すう)という行為をしています。よくかんだ草は一度飲み込み胃(反すう胃)に入れます。消化液や胃の中の細菌によってある程度消化が進んだところで口の中まで吐き出します。口の中に戻った消化途中の草はもう一度よくかんで消化液とすり
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混ぜ、再度飲み込みます。これを繰り返すことによりヒトが消化できない筋っぽい草のデンプン質(セルロース)を糖まで分解し、栄養とします。
ヒトは一度飲み込んだ食べ物を普通は口へ戻すことはありません。ヒトは直立しているので胃が口よりずっと下にあるからです。ところが食べてすぐ寝たらどうなるでしょうか?胃は口とあまり変わらない高さになります。満杯の胃は食べ物ばかりか胃液、空気などが充満し圧力が高まっています。高さが変わらず圧力が高ければ胃の内容物が口へ戻るのは道理です。このように食べてすぐ寝ると、牛の"はんすう"と同じ現象が起こります。今回の胃食道逆流症(逆流性食道炎など)は、まさに人間が行っている反すう行為とも言えるでしょう。奇しくも、母の口癖だった「食べてすぐ寝ると牛になっちゃうよ」という言葉は、私の頭のなかで、俄然、真実味を帯びてきたのです。。
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