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D:尋常性毛瘡
 男性のひげの生え際にぶつぶつ集まってできる毛包炎です。そのうちいくつかがくっ




ついて大きくなってしまうこともあります。

E:蜂窩織炎(蜂巣炎)
 おできの範疇ではありませんが、おできや傷口から急速に皮膚の下や脂肪組織に広がった化膿巣です。熱やむくみ、広範囲の紅潮が特徴です。傷になりやすい手足に多い疾患で痛みも強く、皮膚が崩れて潰瘍になることもあります。関節や筋肉に広がったり、全身に細菌がまわる敗血症に発展することもあるので、要注意です。
 傷口の消毒が悪く細菌が進


入して化膿した病変ですが、普通の化膿巣と違い、
膿を持った袋が形成されず、周囲へとりとめもなく広がった状態です。漫然と広がっているため、その部位を切り開いて膿を出すわけにもいきません。ひどくなるとモモから足の先までパンパンに腫れて高熱がでます。治療は抗生物質の点滴や内服を長めにしっかり使うことです。






名のある"おでき"達

面疔(顔面せつ)
 抗生物質が無い時代の難病です。口の周りや鼻、額にできるせつが悪化すると脳まで膿がまわり、髄膜炎や脳膿瘍を起こすため、面疔と呼ばれ恐れられていました。私も子供の頃よく、鼻をほじっていると面疔になるからやめろと母にたしなめられたものです。
ものもらい(麦粒種)
 まつ毛の生え際やマイボーム腺などに細菌感染が起きたもので、まぶたにプツッとできる"おでき"です。赤く腫れて痛みがあり、破れて膿が出ると自然に治りますが、通常抗生物質の目薬や飲み薬を治療に用います。コロッとして痛みのない霰粒腫は別物です

名のある"おでき"達
こぶ(瘤)

 こぶとりじいさんという民話がありましたが、こぶと言っても様々なものがあります。今回は、体の表面にできる、ありふれたこぶについてです。

A:紛瘤(アテローム)
 類上皮嚢腫が代表です。皮膚表面の角質層と同じような物質が袋状にたまったこぶです。表皮(黄色の部分)が袋の内側を裏打ちする構造であるため、表面の角質が剥がれて(アカやフケのようなもの)袋の中にたまります。ソラマメから、鶏卵ぐらいの大きさがあり、徐々に大きくなる傾向があります。時に破れて、豆腐の絞りかす(おから)状の臭い内容物が出てきます。また、細菌が入って化膿し、真っ赤に腫れて痛んだり熱を持つこともあります。夏はこすれて傷が付き、化膿しやすいのでご注意ください。









 首の後ろ、背中や胸、顔面などができやすい場所です。
 皮膚の下に入り込んだ、表皮と同じ構造の袋なので、内容物(アカ)を押し出すだけでは治りません。内壁を含む黄色の袋ごと摘出しなくてはまたアカが溜まるからです。

粉瘤(アテローム)

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