様々なレントゲンの利用法

 レントゲンは様々な部位で撮影されています。主な撮影部位と目的を見てみましょう。
1)頭、顔---頭の中は残念ながら普通のレントゲンでは写りません。ただ、骨折や多発性骨髄腫など骨に異変が起こった時の診断には役立ちます。骨の中の副鼻腔は空気の溜まる空間なので正常では黒く写りますが、膿が溜まるとこの空間が白くなるので、ちく膿症の診断に有用です。また、歯科では虫歯その他の診断に使われています。
2)頚椎(首)、胸椎---背骨と背骨の空間が狭くなっているヘルニアの診断の第一歩がレントゲンです。また、背骨がつぶれる骨粗鬆による圧迫骨折やS状に曲がっている側彎症の診断もレントゲンです。
3)冠動脈造影(心臓カテーテル検査)--心臓に酸素を送る冠動脈にカテーテルを入れ、冠動脈の動脈硬化を調べる検査です。カテーテルをつかって詰まった血管を広げたり掃除をしたりチューブを埋め込むなど、狭心症や心筋梗塞の治療を行う場合もあります。
4)肩、腕---鎖骨、肩甲骨、腕の骨の骨折、関節がはずれる脱臼の診断に使われます。
5)手---手首や指ですが、骨折や脱臼の他、慢性関節リウマチの有無、変形性関節症かどうかなどを調べます。また、骨密度(骨塩定量)といって、骨に付いているカルシウムの量を計り骨粗鬆症かどうか調べるために手を撮影する場合もあります。

6)腹部----主にお腹の中のガスの状態を写し出し、腸閉塞になっていないかどうか見るのが内科的な検査の中心です。その他、肝臓や腎臓、脾臓の大きさを調べたり、その位置関係を見るのに使います。立ったときに腎臓が大きく下がる遊走腎は、原因不明の腹痛の時しばしばみられます。また、胆石や腎結石、尿管結石など結石の診断にも活躍します。胃のバリウム検査、腸のバリウム検査(注腸検査)などもレントゲンですが、胃腸の粘膜は普通のレントゲンでは写らないので、金属であるバリウムを粘膜にくっつけてコントラストを付けて撮影します。また、点滴や注射の薬をつかって胆管や腎尿管にコントラストを付けて撮影する方法もあり、これらのコントラストを付けて撮影する方法を造影法と呼び、コントラストの材料を総称して造影剤と呼びます。CTやMRIでも造影剤を使う事があります。内視鏡をつかって膵管や胆管を造影する検査もあります。(ERCP)
7)腰椎、骨盤---ヘルニアや圧迫骨折など腰痛の原因を調べる第一歩がレントゲンです。また、骨密度を調べる検査も腰椎をレントゲン撮影して行われます。大腿骨先端の骨盤側の受け皿が生まれつき不完全な先天的股関節脱臼という常に脱臼しやすい病気もあります。また、股関節のすぐ下にある大腿骨の細い部分は大腿骨で最も細く、かつ少し曲がっているため、とても骨折しやすい場所です。この付近は血液の流れが悪く、しかも斜め方向で体重を支えるため、くっついたと思っても、またすぐ折れてしま

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