鎌倉市大船 山口内科 すこやか生活第21巻8号

気候とカゼ

「春と秋は必ず一度はカゼをひく」「冬はずっとカゼをひいている」などの声をよく聞きます。これらは、季節ごとに何らかのカゼをひく要因があるということです。もちろんウイルスであればインフルエンザの時のような流行と集団発生があるはずですが、多くは自分だけカゼをひいてしまうと言うケースのようです。
寒暖差アレルギー:カゼをひくときにそのきっかけとして、「前日に寒い中薄着でいたのでカゼをひいた」とか「雨に当たって冷たい思いをしたのでカゼをひいた」という話をよく聞きます。これは一種の寒暖差に対する体の過敏反応としてカゼをひいた可能性が高いと考えられますが、低温で体の免疫力が一瞬低下し、自分の体に同居している微生物が暴れたのかもしれません。寒暖差アレルギーは、体の自律神経の誤作動が原因です。気温が下がると交感神経が作動し、熱を逃がさないように全身の血管が収縮します。これに対し気温が上がると、副交感神経が作動し、血管を拡張させ体の熱を逃がそうとします。これらの神経は血管だけでなく、各々、気道の粘膜の収縮・膨張や気道分泌物を減らしたり増やしたりするのにも関与します。寒い思いをして、温かいところに戻るとその反動で、鼻がつまったり鼻水が出たりするわけです。駅で立ち食いそばを食べたときに鼻水が出てくるのも同様です。

季節のアレルギー性鼻炎:アレルギー性鼻炎は俗に鼻カゼとも言われます。毎年同じ時期にカゼをひく場合、これに該当するかもしれません。春ならスギやヒノキの花粉、GW〜夏前ならカモガヤなどのイネ科の花粉です。また、8月後半から10月あたりならブタクサやヨモギなどの秋の雑草の花粉です。また、エアコンが入り始めるころはホコリが舞いやすく、ハウスダストやダニアレルギーを持っている方はカゼ症状が出やすい時期でもあります。
低気圧:気圧の影響は万民に平等に降りかかります。気圧は体の外からだけでなく口や鼻、耳のスペースにも入り込み人体の表面を押します。また、外へ出てこようとする体液を体内に押しとどめる圧としても働きます。気圧が下がると粘膜がはれ、気道分泌物が増え、血圧も下がり、頭痛もします。これに何とか対抗しようと交感神経や副交感神経といった自律神経も過度に反応します。これら圧の変化に加え自律神経の狂いが生じると、鼻や気管の粘膜のはれが助長され、鼻づまりから副鼻腔炎や中耳炎を起こしたり、鼻水が増えノドが痛くなったり咳が出ます。また、気管支の内腔が狭くなるとぜん息状態に陥ります。このように気圧の低下は、万人に平等に悪影響がでるため、低気圧が来ると、こぞってみんながカゼをひいたようになります。

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