鎌倉市大船 山口内科 すこやか生活第21巻8号

カゼの主な症状

 クシャミ、鼻水、鼻づまりといって鼻カゼの3症状に加え、ノドの痛み、セキやタン、頭痛や発熱、だるさなどが一般的なカゼの主症状です。
1)鼻カゼ(鼻炎)の3症状
 クシャミ鼻水は、鼻の粘膜が敏感になったり、鼻に入った異物を出した方が良い場合に出ます。具体的な異物としては、花粉やホコリ、ウイルスなどの微生物でしょうか。また、鼻づまりは鼻粘膜に炎症が起きてはれることが原因で、アレルギーや感染症ほか、冷気などもはれる原因となります。はれるのは炎症が主因ですが、異物や冷気を体内に入れないようにするため生体防御の一つかもしれません。なお、クシャミやセキは、感染微生物を周囲の人にばらまく原因となります。
2)ノドの痛みやはれ
 ノドが痛かったり腫れるとすぐ扁桃腺がはれたとおっしゃる方が多いのですが、実際に扁桃腺に問題がある方は1%にも至りません。扁桃腺はノドの両脇ではれれば下あごから触れることができ、押せば痛みを感じます。実際にノドの痛い方の痛い部分を聞くと、口を開いたノドの突き当たりと、その上の口蓋垂の奥・上あたりや突き当たりから下の、のど仏の至るあたりを痛がっている方がほとんどです。これは、上咽頭〜下咽頭の粘膜の痛みで同部位に炎症が起きていることが原因です。ノドの炎症やウイルスが原因と考えられていますが、必ずしもそれだけではありません。インフルエンザなどのウイルスが消滅した後もノドの痛みが残ったり強くなったりする場合があります。この

多くは鼻炎がこじれて副鼻腔炎になり、炎症の強い後鼻漏がノド(咽頭)後壁にへばり付き、そこに炎症を起こすという二次的な変化です。鼻炎で鼻を垂らしたりかんでいるうちに、鼻腔と上唇の間が赤くなっている方を見かけます。これは鼻水が皮膚について起こした炎症の結果です。同様な鼻水による炎症はノドにも起こります。
3)セキ
 ノドや気管の刺激に反応し、はく息が突発的に出てしまうことです。刺激になるのは、化学物質やそれに準ずる後鼻漏(鼻水がノドに垂れたもの)、花粉、粉末状の異物、細菌やウイルスなどの微生物が起こした炎症やその結果としてのタンなどの分泌物などです。セキは、これら体にとって無用か悪影響を起こす物質を体外に出すことが目的です。したがって、むやみにセキを止めてしまっては、体に良くないものが体内に残ってしまいます。
4)頭痛
 発熱とかぶりますが、体内で増える炎症性物質の影響で脳圧が上がったり、副鼻腔炎で副鼻腔の内圧が上がって起こります。基本的に各所の炎症が治まれば改善しますが、つらい場合は消炎鎮痛解熱剤が助けになります。
5)発熱、だるさ
 こちらも全身に散る炎症性物質(サイトカイン)の影響です。これらは、視床下部の発熱中枢に働き、体温設定を上げてしまうため体はその設定温度に合わせるよう筋肉を動かし熱を作り出します。熱に先立ち寒気がするのは筋肉を振るわせ熱を作っている最中だからです。

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