鎌倉市大船 山口内科 すこやか生活第21巻7号

主な高血圧治療薬と選び方

まずは、主な治療薬を列記します。
@Ca拮抗剤:アムロジピンなどで、血管の平滑筋を弛め、血管を拡張させることによって血圧を下げます。即効性です。
AARB/ACE阻害剤:腎臓で作られるレニン、はアンジオテンシンIを増やし、肺でこれがアンジオテンシンIIになると血圧が上がりますが、この経路を抑えるのがこのタイプの薬です。ACE阻害剤はエナラプリルほか、ARBはバルサルタン、カンデサルタンほかがあり、前者はセキが出やすくなることもありますが、後者は目立った副作用がなく使いやすい薬です。開始後、2〜4週間くらいで効果が出てきます。
Bサイアザイド系利尿剤:食塩(NaCl)の摂りすぎは血圧を上げますが、このNaを尿へ出すことによって血圧を下げます。トリクロルメチアジドなどが代表です。尿酸値が上がります。
Cβ遮断薬:心臓の過度な収縮を抑え血圧を下げま

す。アテノロール、カルベジロールなどがあります。心拍数も減少します。
その他:αブロッカー、ミネラルコルチコイド拮抗薬、直接的レニン阻害剤ほかがあり、こちらは前記の4者のいくつかの組み合わせでも血圧が目標値まで下がらない場合に加えて使われます。
 さて、高血圧の薬はあまたあります。最初は@〜Cの4つのうちの一つを使い、徐々に下げていくのが基本です。各々特徴がありますが、緊急に下げなければならない場合を除いて少ない用量から始め徐々にその量を増やしたり他を併用したりしながら目標値まで下げることを目指します。最も良く用いられているのは、@、Aです。表は、高血圧でも様々な状況があり、その状況によって選ばれやすい薬を示しています。左室肥大は動脈の抵抗に抗して心筋が血液を押し出しているのでその抵抗を下げる薬を、
LVEF(左室効率)が低下した心不全では負担を取る薬が選ばれます。脈が速い場合はそれをゆっくりにする薬、狭心症では心筋の酸素供給を増やしたり、酸素需要を減らす薬が選ばれます。心筋梗塞後では心不全の予防効果があるもの、そして腎機能が低下している場合は腎機能を損なわないものが選択されます。これらは絶対ではありませんが、概ねこれに沿っています。なお、@とAは4つのうちでも降圧効果が高いため、ほとんどの場合で、血圧治療の主力として選ばれます。

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