鎌倉市大船 山口内科 すこやか生活第21巻4号

すこやか生活

セキが出るしくみ

ます。これがセキの正体です。Aの様な浅い部分の刺激の原因とされているのが、気道内の過剰な分泌物(タン)や吸い込んだ異物で、受容体の反応性亢進(アトピー咳嗽)、食道逆流によるセキ、ACE阻害薬(血圧の薬)によるセキなどです。このほかセキ受容体は下部食道や、胸膜、耳などにも分布し、様々な刺激でセキを誘発します。Bの深い部分の神経の過剰刺激によって起こるセキが気管支喘息や、セキ喘息といったものです。
 なお、この
A,Bはそれぞれ独立したセキと考えられており、喘息で使われるメプチンやツロブテロールなどのβ刺激薬は、Aのセキ受容体やセキ中枢を抑制することができず、喘息の息苦しさは軽減できますが、セキを完全に止めることはできません。また、気管支平滑筋の収縮が関与しない上気道炎のセキも止めることができません。
 セキは自分の意志でもすることができ、心の問題でセキを繰り返したり習慣的なセキをしている場合もあります。

 咳(セキ)と痰(タン)は、医療機関を訪れる最も多い訴えです。また、医療機関を訪れるまでに至らずとも、自覚症状として持っている国民が多く、腰痛、肩こりに続き、「セキやタンが出る」が、男性では3番目に多いと、平成28年度の国民生活基礎調査で示されています。国民の多くが、そして、医師の多くがこの症状の解消に苦戦していることもわかります。
 図は気管支の断面図です。セキは気管支に様々な刺激が加わることで起きます。セキの本質は気道に入った異物を外に出すための体を守るための反応です。気管支を含む空気の通り道に異物が入ると、気管支上皮の間や、上皮の下層の粘膜固有層や平滑筋にある、セキ受容体を刺激し、図
ABの知覚神経を伝わり、副交感神経を介して延髄にあるセキ中枢へ刺激が伝わります。セキ中枢は、呼吸中枢と連携しながら、運動神経を介して横隔膜や肋間筋へ息をはき出す指令を伝え、突発的な大きな息をはく動作を誘発し

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