天然痘そのものやその軽症患者から採取した水疱の液を健常者に植え、予防とする試みが行われていたようです。
その後、人間社会に猛威を振るった結核菌に対するBCGや、罹って生き残れば大人になれる「命定め」と呼ばれた麻疹(はしか)やポリオ、破傷風、ジフテリア、百日咳、風疹、水痘、インフルエンザなど、様々な予防接種が開発され国の事業として行われています。 一時、ワクチンの副作用で訴訟となり政府が及び腰になって、予防接種の位置づけを「社会全体を守ること」から、これからは「個人を守ること」と格下げしてしまいました。しかし、これにより接種率が大幅に低下し、麻疹や風疹などの感染症の流行を招き、他の先進国から感染症の蔓延国と名指しされました。近年は政府も重い腰を上げ、再度、予防接種行政を推進する方向に転換しました。 これにより、近年、乳幼児の髄膜炎予防のHibワクチンや、髄膜炎菌ワクチン、水痘ワクチン、B型肝炎ワクチン、成人の肺炎球菌ワクチンや子宮頸ガンワクチン、風疹予防事業としての抗体検査や予防接種が行われるようになりました。今回はこの中で、主に大人の予防接種を中心に整理しました。
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