心・肺疾患と運動

肺と心臓は、酸素を取り込み全身へ供給する臓器なので、機能が低下すると、少し動くだけで息切れしたり苦しくなります。そこで、無理なく運動することが必要です。
心不全や重症不整脈の合併が無い場合
 急性心筋梗塞でカテーテル治療やステント挿入などの治療を行った場合、以前はひたすら安静にさせる傾向でしたが、近年は数日の内にトイレ歩行程度を始め、日ごとに距離を伸ばし、2~3週の内に10分程度の軽い運動をするようにし、1ヶ月たつころには30分程度の歩行を行うほど、運動が重視されるようになりました。
 心筋のダメージが無い
狭心症では冠動脈の治療が終われば心臓自体にはあまり問題がないため、できるだけ早期に軽い運動から始めることが大切です。狭心症になる方は元々あまり運動をしない方が多いため、退院後に元の生活に戻ってしまう傾向があります。残っている冠動脈の動脈硬化が進んで狭心症を再発させないためにも、できるだけ有酸素運動をする習慣をつけなければなりません。狭心症になったからこそこれからを健康に過ごすため生活習慣の改善が必要になるのです。
 なお、運動をやって次の症状がある場合は、運動を休み、今後のことを医師に相談してください。①狭心痛(胸

痛)、②強い息切れや呼吸困難、③失神やめまい、④足の痛み、⑤冷や汗などです。
 
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、喫煙などの影響で、末梢の気管支に炎症を起こし、空気の出入りが窮屈になって息切れや呼吸困難になる病気です。ぜん息に近い治療が行われますが、比較的高齢者が多く、自宅で酸素を吸入している場合もあります。息切れが強いため、どうしても体を動かさなくなってしまい、足やボディの筋肉が衰えます。このため、転びやすくなったり、益々息が切れやすくなります。COPDのリハビリや運動の目的は、次の通りです。①呼吸機能を改善させ生活の質を上げるために運動に対する余裕を増やすこと、②将来の肺や全身の合併症を予防すること、③筋力の維持などで転倒の予防を行うこと、です。具体的には平地歩行や自転車こぎなどの軽い有酸素運動を20分程度が理想で、これに加え筋トレを行っておくとよいでしょう。苦しいのに頑張る必要はありませんので、つらければゆっくり動いたり休み休み行うことが大切です。なお、呼吸が厳しい方は呼吸筋の運動が大きなエネルギー消費につながりますので、タンパク質を中心に十分なカロリーを同時に摂る必要があります。

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