生活習慣病と運動

糖尿病
 糖尿病の治療の原則は、食事療法、運動療法、薬物療法の3つです。この3つをバランスよく行うことが大切ですが、食事療法と運動をしっかりやることによって、薬を使わなくて済んだり薬を止めることができる方もいます。血液中の糖(ブドウ糖)は、筋肉や脳神経などの細胞がエネルギー源として最も利用しやすい材料です。しかし、このエネルギーの材料を、体を動かすことを怠って使用しないと、血管内にこれがだぶつき血糖値が上がり、尿から排泄され(尿糖)ます。また、使われないエネルギーは、脂肪やコレステロールに変換され、皮下や内臓周囲に溜まり肥満の原因となり、脂肪肝を起こすほか、動脈硬化をきたします。
 これらを解消するには、エネルギー源を燃やして焼却する
有酸素運動が有効です。代表的な有酸素運動は、歩行やジョギング、水泳や自転車こぎなどです。体重過多の方は、膝などを痛めないよう走る以外のことから始めてください。1日30分、少なくとも週3回、できれば毎日行うのが理想です。なお、スクワットなどの筋トレは無酸素運動なのでエネルギーを燃やすことができず、あまり有効ではありません。
 なお、糖尿病でも、網膜症や腎不全、狭心症や心筋梗塞などの合併症をお持ちの方は運動によって合併症の悪化をきたすことがあるため、始める前に医師に相談ください。
肥満
 基本的に前述の糖尿病と同じです。食事でちょっと食べ過ぎた分のカロリーを運動で消費しようとすると、思ったより多くの運動量を要します。例えばコンビニのおにぎり一個分を消費するために3km(45分)ほど歩かなければなりません。メロンパン1つ食べてしまうと7km歩く必要があります。このため、体重を落

とすつもりなら、運動だけでなく食事療法もしっかりやってください。考え方としてわかりやすいのは、空腹の時間に体の貯金(脂肪)から運動のエネルギーを支払うので、空腹感が続いている間だけ体重が減ると言ったイメージです。
高血圧
 血圧は140/90mmHgの上下どちらかがこれを上まわると高いと考えられています。高血圧の生活習慣改善には、まずは減塩(6g以下)、次に運動(30分~60分の有酸素運動)、そして節酒などです。これらによって、収縮期血圧は3~5mmHg、拡張期血圧は、2~3mmHg下がるとされています。またダイエットや運動で4.5kg以上の減量が達成できるとこちらも同程度の血圧を下げる効果が期待できます。減塩は普段の塩分の半量くらいなので、相当味気ない食事のイメージです。しかし慣れてきて外食が塩っ辛く感じるくらいになると達成できています。運動は、交感神経の緊張を弛め、精神的なストレスを軽減し、これにより血管の抵抗を下げます。また、動脈硬化が起こりにくくする効果も重なり血圧にいいことずくめです。歩行や軽いジョギング、水泳や自転車こぎを週3~4回程度がいいでしょう。なお、あまりにも血圧が高い場合や、心臓病の合併症がある方は無理は禁物ですので、医師に相談の上、行う運動を決めてください。
脂質異常症
 中性脂肪(TG)の高い方は、中等度の有酸素運動により、翌朝のTGが下がります。中性脂肪の検査は食事の影響を受けるため、前日の夜に食べ過ぎたり飲み過ぎると上がり、朝食後数時間でも高くなるため、空腹時に調べる必要があります。悪玉と呼ばれるLDLコレステロールは運動だけでは下がらず、食事療法とともに運動を加えると下がることがわかっています。

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