腎臓の働き

を通って尿細管へ出たあと、ほとんどが尿細管から血液内に再吸収されます。そして、必要に応じて、尿に捨てられたり、100%近く再吸収されたりしてバランスを取っているのです。塩分も普段は意識することはありませんが、体の調子をとるために大変重要な成分です。腎臓はこの意味で、解毒作用を司るだけでなく、体の基本的な物質のバランスをとる重要な臓器と言えましょう。
3)血圧のコントロール
 腎臓は、レニン、アンジオテンシンという、血圧を上昇させるホルモンを分泌します。その仕組みは、血圧が下がり腎臓に流れる血液の流れが減ると、レニンが作られます。レニンはアンジオテンシン-Iを放出し、それがアンジオテンシン-IIに変換されます。このアンジオテンシン-IIには、強い血圧上昇作用があるのです。最近、血圧の薬で、この経路を抑えて降圧効果を示す薬剤が増えてきました。血圧は、これ以外にも様々な仕組みでコントロールされています。腎臓も、その仕組みの一つとして大変重要な役割を果たしているのです。

 腎臓は老廃物をこし出すフィルターと書きました。しかし、腎臓の働きはそれだけではありません。各々の働きを整理してまとめてみましょう。
1)解毒作用
 体の毒物は、化学工場としての肝臓で分解処理されるか、腎臓で排泄されます。肝臓は、分解産物を、胆汁から腸を介して便へと出します。腎臓では、こし出された毒物が尿へと出ます。皆さんは尿毒症という言葉を聞かれたことがあるでしょう。これは、腎臓で処理できない毒物が体内に貯まって、様々な障害を体に起こす病気です。肝臓で処理される毒物が貯まることを、黄疸と呼びますが各々、腎機能不全、肝機能不全と、ほぼ同義語です。
2)水分、塩分の調節
 人間の体の、実に60%は水でできています。細胞の中に40%、血液などの細胞外に20%の水が分布しています。この最も重要な物質のバランスを調節しているのが腎臓です。糸球体のフィルターで、動脈から尿細管へこし出された水は、そのほとんどが尿細管から、再度血管内に戻ります。(再吸収)つまり、水の調節には糸球体のフィルターだけでなく、尿細管の働きも重要なわけです。そして、水の調節がうまくいかないと、むくみが出てきます。水と同様に、ナトリウム、カリウム、塩素その他の塩分の材料も、糸球体


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