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現在自宅で生活をされている身体障害者の内訳は、マヒなどの肢体不自由がおよそ50%、視聴覚障害と聴覚・言語障害が10%弱、そして、心機能、腎機能、肝機能、呼吸機能、膀胱・直腸障害、消化管障害、免疫不全などの内科疾患(内部障害と呼ばれる)がおよそ30%となっています。身障者の30%が内科系疾患であることは驚きで、我々内科医はリハビリをもっと真剣に取り組まなければなりません。 3つの筋肉 体の筋肉は、骨格筋(随意筋)、心筋(不随意筋)、平滑筋(不随筋)でできています。骨格筋は手足の様に自由に動かすことでできる筋肉で、手足やボディの筋肉の他、目の動き(動眼筋)、表情の変化(表情筋)、飲み込み(嚥下の筋)、横隔膜、排尿(外膀胱括約筋)、排便(肛門括約筋や腹直筋)など様々な体の活動に使われています。これらは随意筋と呼ばれ、自分の意志で収縮させたり緩めたりすることができます。脳神経や、脊髄の運動神経がこれらの筋肉を操っています。これら骨格筋は使うことで鍛えられます。 これに対し、骨格筋に近い構造の心筋、そして心臓以外の内臓の動きを司る平滑筋は食道、胃、腸などの消化管、気管支、動・静脈などの血管周囲、尿管や膀胱、卵管や子宮などの泌尿生殖器に含まれます。これらの筋肉は交感神経や副交感神経に操られていますが、自律神経と呼ばれる交感・副交感神経は自分の意志で作動させることができ
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ず、体の様々なセンサー情報に応じて作動するため、基本的に鍛えることはできません。 従って、内臓に対するリハビリは、心筋や平滑筋を動かすことを目指す運動ではなく、自分の意志で骨格筋(随意筋)を動かし、これを鍛えることや、運動量を稼ぐことで、内臓で起こっている様々な不具合を解消・改善させることを目指します。 内臓のリハビリの意義 それでは鍛えることのできない内臓の疾患のためのリハビリとは具体的にどういうことかという疑問がわきます。 1)臓器機能不全の補完 呼吸障害だったら、少しでも呼吸状態が良くなるように行うリハビリが該当します。呼吸障害の場合は随意筋の呼吸筋を鍛えたり、空気を取り込みやすい姿勢を覚えて実践する等です。肛門や膀胱直腸障害などに対する肛門体操、膀胱体操など、括約筋を鍛えることも、ここに入ります。 2)病気の再発防止を目指す 冠動脈硬化による狭心症や心筋梗塞なら、狭くなった血管のバイパスが生えてくるよう心臓に軽く負荷をかけるなどです。適切な運動によって、コレステロールや中性脂肪、血糖値が下がり、動脈硬化の進行を予防する効果が期待できます。 3)病気を治療するリハビリ 高血圧や糖尿病、脂肪肝やNASHと呼ばれる脂肪肝炎、脂質代謝異常(高コレステロールなど)は、運動自体が疾病を改善させる効果があります。運動によって、血圧は下がり、血糖やヘモグロビンA1cやコレステロール値など検査値の改善や、脂肪の減少が期待できます。
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