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 今日のように有効な治療法の無かった時代、病気といえば入院し、安静にしていることくらいでした。医療が進歩し、様々な治療法が導入され、今まで治らなかった病気がどんどん治るようになった昭和年代でさえ、昔の名残で、近代の治療が行われた後は、安静が治療後の中心でした。
 しかし過去に様々な病気で入院された方は経験済みでしょうが、退院後ふらふらしたり、急に体が弱った様な気がしたことがあると思います。実際に
トイレと食事以外の時に寝たままでいると、1日あたり約1%の筋肉量(=筋力)が低下します。集中治療室で完全にベッド上で1日絶対安静にしていると、約2%の筋肉量(=筋力)が落ちてしまいます。一般に年齢が1歳上がるごとに平均して約1%ずつ筋肉量(=筋力)が低下すると言われていますので、2週間安静にしていると、14歳老化します。もし、2週間絶対安静にしていると2%ずつですので、70歳の方なら98歳(+28)体まで老化が進んでしまい、歩けなくなります。
 以上はわかりやすい筋肉

だけの話ですが、実際は骨はもろくなり、心臓は弱り、呼吸筋は落ち、胃腸の働きも低下し、平衡感覚、認知機能も低下するなど、身体の様々な機能が衰えてきます。このような体の機能低下を予防したり、元に戻すように体を整えることがリハビリテーションです。
 リハビリの定義は辞書などでみると、「治療段階を終えて疾病や外傷の後遺症を持つ人に対して医学的・心理的な指導や機能訓練を施し、機能回復・社会復帰を図ること。」と書かれています。近年では、病気の予防や転倒事故の予防を兼ねて、治療をする病気や怪我する前から様々な機能訓練を行い身体機能をアップしておくこともリハビリといいます。また、手足だけでなく、言語、嚥下機能のリハビリ、心臓病や肺疾患、メタボなど、内科疾患のリハビリも積極的に行われます。身体機能のリハビリは、一部介護保険による、デイサービスやデイケアなどの施設でも行われるため、対象者は介護保険の申請も必要です。

リハビリテーションとは? | 内科疾患のリハビリの考え方

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