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暖房にあたりすぎたり、真夏の日差しの強いところで立っていて頭がくらくらする経験をお持ちの方もいるでしょう。長湯をして出るときにふらついたり、のぼせてボーっとするのも同様で、"俗に言う脳貧血"の状態です。これは、手足などの静脈が拡張し、そこに血液が滞ってしまい、体を循環する血液が減って血圧が下がり、脳へゆく血液が不足して、脳が軽い酸素欠乏に陥っている状態です。一種の循環不全なので、本当の意味での貧血と異なり、低血圧などがその正体です。
貧血は、読んで字のごとく、血液が不足する状態を指します。具体的には血液中の赤血球やその中の主成分で、酸素を末梢へ運ぶ機能を担う、ヘモグロビンという鉄を含んだタンパク質が足らないことです。赤血球数が少ないと、そこに含まれるヘモグロビンも少ないので、酸素を運ぶ能力が低下します。赤血球の数が足りていても、その中に含まれるヘモグロビンが不足していれば、酸素を運ぶ能力は十分とは言えません。このような、主にヘモグロビンが少ない貧血は、ヘモグロビンの赤い色素にちなんで、低色素性貧血と呼ばれます。低色素の代表は、慢性的な出血や、鉄欠乏などによる貧血です。これらの貧血では、赤血球のサイズが小さいことが多く小球性貧血とも呼ばれま
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す。
これに対し、赤血球が作られるときに核の成熟に問題があると大きな赤血球ができます。赤血球は骨髄で作られますが、成熟の途中まで細胞内にある核は、血管に出てくる少し前に細胞外に押し出され、核のない成熟赤血球として血管内を流れます。骨髄では赤血球の核とヘモグロビンを含む細胞質が平行して成熟します。ところが、ビタミンB12や葉酸が不足すると、核の成熟のみ遅れます。すると、なかなか核を外に出すことができず、もたもたしているうちに細胞質の容量がどんどん増え、大きな赤血球ができ上がります。細胞は大きいものの、肝腎の核が育たないため、赤血球数は少なく、大きな赤血球にもかかわらず貧血になります。これを大球性貧血と呼びます。上記以外ではアルコール多飲者にこのパターンはよく見られます。
なお、正常な大きさで適量のヘモグロビンを持つ、正球性正色素性貧血もあります。これは慢性腎不全や、赤血球が壊れる溶血性貧血、再生不良性貧血などで見られます。一般的な血液検査では、貧血の有無がわかるだけでなく、どのタイプの貧血かもわかり、おおよそどこに貧血の原因があるかも推定可能です。
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