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One airwayとは、鼻からノド(上気道)、気管から気管支(下気道)、肺まで空気の通る道は一つという意味です。上気道には鼻炎、咽頭炎、喉頭炎という炎症があり、下気道には気管支炎、気管支ぜん息、肺炎という炎症があります。この炎症の原因は、a)アレルギーによるもの、b)細菌やウイルスなどの微生物によるもの、そしてc)免疫の異常によるものが中心です。アレルギーによるものは、アレルギー性鼻炎、アレルギー性咽頭炎、同喉頭炎、気管支ぜん息(アレルギー性気管支炎と呼んでもよい)という病気があり、微生物によるものは、前述の"場所"炎という呼び方が一般的です。 このうちのアレルギー性鼻炎は上気道の炎症で最も多い疾患で、気管支ぜん息は下気道の炎症でもっとも多いものです。前者は"クシャミ、鼻水、鼻づまり"といった定番の症状を呈し、後者は喘鳴、セキ、呼吸困難などの症状を示します。場所も違い症状も違い病名も違うため、前者は耳鼻科領域、後者は呼吸器内科(または小児科)領域の疾患として取り扱われてきました。しかし、気道は上も下もひとつながり(one airway)であるため、まとめて一つの病気(one disease)として考えた方がよいだろうという考えが出てきました。日本では上気道と下気道の専門家がバラバラに診てきましたが、アメリカなどではアレルギー専門の医師が両方まとめて診ているのが普通です。日本でも最近、このOne airway one diseaseの考え方を実践しようという機運が盛り上がっ
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てきました。ぜん息の成立について、One airway one diseaseを元に次の説が提唱されています。 @鼻閉などの上部の気流制限が下気道の気流制限に悪影響をおよぼしている。 A鼻閉などで口呼吸になると、鼻毛のフィルターで取り除かれていない花粉やホコリ、ウイルスなどが、乾燥した空気と一緒に下気道に入り、気管支の粘膜を傷めたり刺激し、気管支平滑筋の収縮を促しぜん息を起こす。 B鼻で作られた化学物質(サイトカインやメディエーター)などが吸入されて気管支粘膜の炎症や気管支平滑筋を収縮させる。 これらは特にBを中心に研究され、細かい分子レベルの変化まで調べられ多くのことがわかってきました。しかし、あまりにその仕組みは複雑で、本筋が見えず、最新の知見に基づいた、とても高価な新薬が市場に出てくるくらいしか目新しさはありません。そして、内科は耳鼻科と連携をとって診療しましょうといったお題目ばかりで、one airwayをまとめて面倒をみようという実践の指針が出てきません。アレルギーだけではありません。b)の微生物による炎症も上気道と下気道の関わりが深いのに曖昧なままです。俗に"カゼをこじらせて肺炎になった"といいますが、上気道の常在菌である肺炎球菌による肺炎の多くが、同じ菌による副鼻腔炎などによる後鼻漏が原因になっている可能性が高いのです。内科は肺炎球菌ワクチンを注射すればよいで終わるのではなく、その菌が起こす上気道の疾患を予防し、発見し、治療してこそ真のOne airway one diseaseの実践であるはずです。鼻は鼻だけ、咳は気管支や肺だけと皆さんも考えないで下さい。
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