息切れとその対応・息切れを起こす疾患

 まずは体の酸素不足を起こしている原因を調べることから始めます。
呼吸機能の評価と対応
 肺のレントゲン検査を行い、場合によっては肺のCT検査を加えて、空気を肺へ十分吸い込み、そこで酸素をきちんと血液に取り込むことができる構造が保たれているか確認します。酸素を取り込めているかは、動脈から採血し酸素濃度を測るのが基本ですが、パルスオキシメーターを使って指の爪の下の血管を通る赤血球の色を測れば、ヘモグロビンがどの程度酸素と結合しているかの酸素飽和度を一瞬で確認できます。また、スパイロメーターで肺活量や一秒率などの呼吸機能測定も病態を把握するために大切です。
 
COPDやぜん息などの場合、可逆的な(修正かできる)部分は気管支拡張剤や吸入ステロイド、ロイコトリエン拮抗剤などの抗アレルギー剤で治療します。呼吸のリハビリも有効です。口すぼめ呼吸は、口をすぼめてゆっくり息をはくと、呼気が狭い口元でじゃまされ滞るため、気管支の内圧が高まり、狭まっている気管支を広げることができます。また、肋間筋による胸式呼吸だけでなく、横隔膜を使った腹式呼吸をする

と、効率よく空気を取り込めます。歩行などの軽い有酸素運動も呼吸訓練になり、足の筋肉を維持することができるため、一石二鳥です。
心機能の評価と対応
 心電図、24時間心電図、心エコー(超音波)などで心拍のリズムや弁の異常、ポンプ機能の評価、心筋の動きなどを確認します。不整脈でリズムが狂っていたらその解消を行い、ポンプの働きが悪ければ心不全の治療や弁膜症の手術を行うなど、問題を起こしている心臓病個別の治療に入ります。
貧血の評価と対応
 採血一つで赤血球の数、酸素と結合するヘモグロビンの量、鉄分や赤血球の核酸合成に必要なビタミンB12や葉酸の量がわかります。各々不足している成分があれば、内服薬や注射で補います。どうしても貧血を治すことができない場合は輸血します。
HOT(在宅酸素療法)
 治療によっても、動脈血の酸素濃度が上がらない場合は、自宅で酸素を吸いながら生活する方法もあります。パルスオキシメーターで測定した酸素飽和度が90%を割るあたりが導入の目安です。自宅にストーブ大の酸素濃縮器を据えて、空気中の酸素を濃縮し吸入します。外出時は小型の酸素ボンベを携帯します。

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