ストレスと生活習慣病

 ストレスは様々な生活習慣病へも悪い影響を及ぼします。
高血圧
 前述の通り、ストレスがあるとそれに対応するために身構えます。このとき働くのが交感神経や副腎髄質由来のホルモンであるアドレナリンです。これらが働くと、血管が収縮し血圧が上がります。また、心臓の拍出量が増え、これも血圧を上昇させます。一般にこの反応は一時的ですが、常時ストレスがかかっていると、血圧上昇が常態化します。交感神経の活性化は腎臓のレニンの分泌を促し、アンジオテンシンIIやアルドステロンを介して、血管を収縮させたり、腎臓でのナトリウム(Na)の再吸収を促し体にNaCl()を貯め込んで血圧を上げます。
 なお、有名な白衣高血圧は一時的なストレス性高血圧、地震など被災者の災害高血圧は慢性的なストレス性高血圧に属します。
糖尿病
 ストレスが糖尿病の発症に関与したり、血糖コントロールに悪影響を及ぼします。また、糖尿病の治療自体も、食事制限を厳重にしたり、運動をさせられたりとストレスの原因になります。食欲は本能的な欲求ですが、自分へのご褒美的な

意味で食べていることも多く、これだけ遅くまで仕事をしたのだからお腹いっぱい食べて寝ようなとどいう行動につながります。これを繰り返していると肥満となり、ひいては糖尿病に陥ってしまうことにもなります。そして、糖尿病の治療中になっても同じことをしていると、いつまでたっても血糖値は下がりません。
肥満症
 ただの肥満ではなく、"肥満によって健康障害を合併するか、合併症が予測される場合"で、健康上、減量が必要な状態です。合併症とは、高血圧、糖尿病、脂質異常症(高コレステロールなど)は言うに及ばず、腎機能障害、心不全、睡眠時無呼吸などの内科の疾患だけでなく、膝の変形性関節症や半月板損傷、脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニア、腰椎圧迫骨折など、運動器の障害で歩行が困難になる場合もあります。肥満症の中には、うつ病や不安障害などの精神的な問題を抱えていたり、"やりがいがない"、"成功体験がない"などの、心理的・社会的な因子が関与している場合もあります。これをいっぺんに解決できる方法はありません。具体的で小さな目標を設定し、一歩一歩クリアしていくしかありません。焦らずいきましょう。

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