鎌倉市大船 山口内科 すこやか生活18巻5号

すこやか生活

ストレスと体の反応

 カゼは万病の元と言いますが、ストレスも負けず劣らず万病の元です。ストレスとは一般に仕事の負荷、家庭問題、恋愛のこじれ、学習の滞りなど負のイメージの出来事が原因と考えられていますが、事業の成功、マイホームの新築、結婚などよい出来事も十分な心の負担となります。ストレスとは自分の周りの大きな変化と言い変えてもよいでしょう。
 さて、良きにつけ悪しきにつけ、多くの様々な変化に人は対応していかなければなりません。変化に対応するためにとる行動は、端的に言うと、
頑張ることと逃げることの2つです。これらの対応をスムーズに進めるために、人はまず、ストレスの情報を脳の扁桃体という部分で認識し、その情報を体の維持の司令塔である視床下部に伝えます。ここはホルモン分泌や自律神経系の情報伝達を介して、体を安定した状態(恒常性)に保ちます。視床下部から分泌されるCRF(コルチコトロピン放出因子)は、下垂体のACTHというホルモンの分泌を促し、ACTHは副腎を刺激し副腎皮質ステロイド(糖質コルチコイド)を分泌させます。ステロイドは血糖値を上げストレスに対応するエネ/span>

ルギーを供給します。自律神経は主に交感神経の緊張を起こし、心拍数を増やしたり血圧を上げ、呼吸数を増やし、体の活動を支援する方向に働きます。どちらも頑張るためには良いことづくめに見えます。しかし、人はロボットではなく24時間戦うことはできません。いざというときがたまなら、かまいませんが、いつもこの状態に置かれていては休む間もありません。ストレスで体をこわすのは、常に非常事態に置かれているからなのです。
 さて、ストレスに置かれているときの主な体の症状は、交感神経緊張によるものです。心拍数が上がったり不整脈が出て心臓がドキドキしたり、息がハアハアしたり、冷や汗をかいてノドがカラカラになり、胃腸の運動が止まって便秘や胃の不快感を覚え、指先が震えたり、目尻の痙攣等の全てがこのためです。血管が締まって血圧が上がり、血小板が凝集しやすくなり血栓もできやすくなります。"山高ければ谷深し"と言いますが、交感神経の緊張が解けた後は、逆方向にバーンときてしまうこともあります。

ストレスと体の反応 | ストレスからくる胃腸の病気 | ストレスと生活習慣病 | 病気にならないストレス解消法