パーキンソン病

 脳梗塞や、脳出血など、脳血管疾患以外の脳の病気の代表です。大脳から錐体路を通る筋肉への指令情報は、同時に基底核へも伝えられます。基底核は、筋肉の動きがスムーズかつ適切な力が出るように調節をしています。この調節は、アセチルコリンというブレーキと、ドーパミンというアクセルの働きのある神経伝達物質で制御され、ブレーキを中心に制御されています。脳の黒質、基底核という部分の脳細胞が変性すると、ドーパミンが不足し、アセチルコリンのブレーキがかかりすぎて、体の動きが悪くなります。これがパーキンソン病がおこる仕組みです。
 代表的な症状は前述の錐体外路にちなみ、"錐体外路症状"と呼ばれる運動機能低下です。
①安静時振戦(手の震え)
②筋強剛
(固縮と呼ばれるこわばり)
③無動・寡動(動けない、動きが遅い)
④姿勢反射障害
(前かがみになり、体が傾いたとき瞬時に立て直そうとする動作ができず、転びやすい。)などです。
 また、歩き始めに第一歩だ踏み出せないすくみ足、小刻みな歩行などの運動症状が起こるほか、自律神経症状として、
A)便秘
B)起立性低血圧(起立時のめまい)

C)よだれが垂れる
 などが出て、進むと声が出にくくなったり、飲み込みが悪くなるような運動障害が出ることもあります。
また、うつ的になったり、物忘れなどの認知症症状が加わることもあります。

 

 このように、様々な運動障害、神経症状がでるため、特定疾患(難病)に指定され、姿勢反射障 害が出てくるレベルになると医療費の補助が行われています。
 なお、基底核の変性以外に基底核の脳梗塞や脳炎などで同様な症状をきたすものをパーキンソン症候群と呼び、薬の副作用やLewy小体認知症、進行性核上麻痺、多系統萎縮などの変性疾患も広義のパーキンソン症候群に含まれます。薬剤性では、精神科で使われる薬の副作用として時々見られます。
治療)ブレーキの効き過ぎを解消するために、脳内でドーパミンになる、L-ドーパやその類似物質(ペルマックスやレキップなど)、ドーパミンの分泌を促すアマンタジン、ドーパミンを分解する酵素の阻害剤(エフビーやコムタン)などが使われます。また、運動のブレーキであるアセチルコリンの働きを押さえる抗コリン剤(アーテン)なども使われています。
日常生活とリハビリ)
 パーキンソンは徐々に進んでいく病気ですが、リハビリにより機能を少しでも維持することが大切です。ポイントは、①薬が効いている時間帯に体を動かす。
座位から立位、臥位と様々な状態で手足の先から、腕、足だけでなく、顔面、ボディまで全身をくまなく動かすこと。
曲がりがちな背中を伸ばし、姿勢の維持に努めること。
音楽に合わせて運動したり、目印の線をまたいで歩くなど、視覚、聴覚を動員して、運動をすることもスムーズに体を動かすコツです。






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