主な動脈の病気と症状

レイノー症状
 冷気に触れたり、冷水を手に浴びた時、指先の血管の収縮がおこって血が通わなくなり、急に指先の皮膚が白や紫に変色する症状です。痛みやしびれを感じることもあり、進むと指先が酸欠で崩れてくることがあります。
原因)女性では強皮症やSLEなどの膠原病、男性では閉塞性動脈硬化症や動脈塞栓などが主です。その他、手根管症候群による動脈の圧迫、タイピングや振動工具の作業なども原因となります。症状がある場合は、主な原因となる疾患の有無を調べます。原疾患の治療が優先されますが、症状が強い場合は、動脈に対して血管拡張剤やプロスタグランディン系の薬を加えます。ビタミンEなども使われます。なお、秋から春の間は手が冷えないよう保温や皮膚の保護も大切です。
解離性大動脈瘤
 心臓から出ですぐの胸部大動脈、そこから足へ向かう腹部大動脈は体の中で最も太い血管です。これらの大動脈は単なる血液の通り道ではありません。収縮期に心臓から送られた血液を弾力性のある壁で受け止め、少し広がりながら血液を溜め、拡張期には溜めてある血液を壁の縮む力で末梢へと送っています。弾力性のある壁に動脈硬化がお

こると、壁が伸びることができず、心臓の圧をもろに受けます。また、拡張期に効率よく血液を手足や各臓器に送ることができず、循環不全の原因となります。弾力性を失った壁は、力がかかるとパリンと割れる陶器と同様に、固いくせに壊れやすいため、高い血圧がかかるとメリッと裂けてしまいます。これが解離性大動脈瘤という、危険な病気です。動脈の末梢へ血が通わなくなったり、大出血を起こすので、突然死の原因の一つとして恐れられています。
症状)突然発症する胸や背中、お腹の引き裂かれるような激しい痛みが特徴です。裂ける方向へ痛みが進むこともあります。怪しい時は、とりあえず病院を受診したり救急車を呼ぶのが得策です。
治療)落ち着いていれば血圧を下げつつ様子を見ますが、人工血管に置き換える手術をすることもあります。
予防)解離の突然発症は、予測困難ですが、大動脈が動脈瘤化している場合は要注意です。胸部レントゲンで大動脈の拡張があったり、腹部超音波で動脈が5cm近い時がそれです。瘤があることを知っていれば素早い行動がとれます。高血圧との関連も強いので降圧剤も有効です。






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