光接触皮膚炎と光線過敏型薬疹

光接触皮膚炎(塗り薬や湿布)
皮膚に染み込んだ薬剤に光があたり、薬剤が細胞障害性の活性酸素を作り、皮膚炎を起こす
光毒性のタイプと、光で変性した物質が抗原やタンパク質と結びついた抗原となり、アレルギー反応を起こすタイプがあります。前者は、理屈から、誰にでも起こる可能性のある皮膚炎で、後者はアレルギーを獲得(感作)した人だけに起こります。
光に露光した皮膚でも、金属アレルギーによる接触性皮膚炎と同様、薬剤を塗ったり貼ったりした場所にしか起こらないのが特徴です。
 光毒性タイプは、ひどい日焼けのような紅斑で、光アレルギータイプは、かゆみがあり、腫れたり、盛り上がったりします。
原因物質)
光毒性タイプは、香水やオーデコロンに含まれる、ベルガモット油などです。光アレルギーの原因物質の代表は、NSAIDsと呼ばれる消炎鎮痛剤の湿布や軟膏です。有名なものでは、モーラステープ、セクターローションなどに含まれる、ケトプロフェン、バキソ軟膏などに含まれるピロキシカムなどです。これらを貼ったり、塗布したところが日光に当たって皮膚炎を起こした場合は、すぐに処方した医師へ伝えてください。日に当たったところに、湿布の形にでるので、かぶれと間違われることがあります。
治療)原因となる、外用剤

の使用を中止するのが基本ですが、薬によっては数ヶ月以上皮膚に残留し、日光にあたるたびに皮膚炎を繰り返すことがあります。このため、ケトプロフェンなどでは、3ヶ月以上薬と接触した皮膚を遮光しておく必要があります。ステロイドの軟膏が有効で、症状が強いときは内服します。
光線過敏型薬疹(飲み薬、注射薬)
 薬を使っているときに、日光に曝された場所に限って皮疹が出るものです。前述の光毒性によるものと、光アレルギーによるものがあります。
 常に日光に曝されるところに多く、ほほ、鼻先、アゴ、耳たぶ、などの顔面や、首筋のVゾーン、手の甲や足の股やすねにみられます。薬を開始後、最短のものでは翌日、遅いものでは1年以上経ってから発症します。おおむね薬を使って数ヶ月目に出ることが多いようです。
 原因薬剤では、キノロン系の抗生物質(ロメフロキサシン)、NSAIDs(ピロキシカム)、サイアザイド系利尿剤(フルイトラン)などが有名です。利尿剤は、他の降圧剤と合剤(プロミネント、エカード、コディオなど)になっているものもあるので、注意が必要です。
治療)疑わしい薬を中止し、日光を浴びないように、外出時は帽子、手袋、長袖、長ズボンなどを着用しましょう。治療薬はステロイドの、軟膏や内服です。






多型日光斑

 日光に曝された皮膚に、かゆみを伴う、丘疹紅斑が出る皮膚炎で、薬剤などの関与が明らかでないものをさします。10~30歳代の女性に多く、日本人の4%程度が過去にかかっています。日光に曝されて数時間~数日で発症し、数日

から数週間続きます。自分の体にある物質が光に曝されて変性し、この自分の一部に対し抗体ができてしまう、いわゆる、自己免疫性疾患の範疇に入ります。治療は、他の皮疹と同様です。

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